2023年10月26日木曜日

比較憲法学の備忘録(人権、権利に関する国際的、通時的な比較)

今回は、比較憲法学の備忘録として、人権、権利に関する国際的(共時的)、通時的な比較の材料となる条項などを、いくらか載せようと思う。
翻訳と、その原文の順で掲載するが、特に細かく管理していないので、気になる人は基本的に原典のほうを閲覧されたい。
翻訳も、機械翻訳を軽度にチェックした程度としており、私はあまり負う責任がないことも付記する。





Grundgesetz für die Bundesrepublik Deutschland (2010) (ドイツ連邦共和国基本法、2010年;ボン憲法、略称: GG, GrundGesetz より取られた)
De: https://www.gesetze-im-internet.de/gg/BJNR000010949.html
En: https://en.wikisource.org/wiki/Basic_Law_for_the_Federal_Republic_of_Germany_(2010)

I. 基本的な権利


第1条 [人間の尊厳 – 人権 – 基本的権利の法的拘束力]
(1) 人間の尊厳は不可侵である。これを尊重し保護することは、すべての国家当局の義務である。
(2) したがって、ドイツ国民は、世界のあらゆる共同体、平和および正義の基礎として、侵すことのできない不可侵の人権を認める。
(3) 以下の基本的権利は、直接適用される法律として立法府、行政および司法を拘束するものとする。

(1) Die Würde des Menschen ist unantastbar. Sie zu achten und zu schützen ist Verpflichtung aller staatlichen Gewalt.
(2) Das Deutsche Volk bekennt sich darum zu unverletzlichen und unveräußerlichen Menschenrechten als Grundlage jeder menschlichen Gemeinschaft, des Friedens und der Gerechtigkeit in der Welt.
(3) Die nachfolgenden Grundrechte binden Gesetzgebung, Verwaltung und Rechtsprechung als unmittelbar geltendes Recht.


第2条 [個人の自由]
(1) すべての人は、他者の権利を侵害したり、憲法秩序や道徳法に違反しない限り、自己の人格を自由に発展させる権利を有する。
(2) すべての人は、生命および身体的完全性に対する権利を有する。人の自由は侵されないものとする。これらの権利は、法律に基づいてのみ干渉することができる。

(1) Jeder hat das Recht auf die freie Entfaltung seiner Persönlichkeit, soweit er nicht die Rechte anderer verletzt und nicht gegen die verfassungsmäßige Ordnung oder das Sittengesetz verstößt.
(2) Jeder hat das Recht auf Leben und körperliche Unversehrtheit. Die Freiheit der Person ist unverletzlich. In diese Rechte darf nur auf Grund eines Gesetzes eingegriffen werden.


第3条 [法の下の平等]
(1) すべての人は法の前に平等である。
(2) 男性と女性は平等の権利を有する。国家は、男女平等の権利の実際の実施を促進し、現在存在する不利益を解消するための措置を講じるものとする。
(3) いかなる人も、性別、親子関係、人種、言語、出身地および出身地、信仰、または宗教的または政治的意見を理由に有利または不利に扱われることはない。何人も、障害を理由に不利益を被ることはない。

(1) Alle Menschen sind vor dem Gesetz gleich.
(2) Männer und Frauen sind gleichberechtigt.
(3) Niemand darf wegen seines Geschlechtes, seiner Abstammung, seiner Rasse, seiner Sprache, seiner Heimat und Herkunft, seines Glaubens, seiner religiösen oder politischen Anschauungen benachteiligt oder bevorzugt werden.


第4条 [信仰と良心の自由]
(1) 信仰および良心の自由、ならびに宗教的または哲学的信条を告白する自由は、侵されないものとする。
(2) 宗教の妨げられない実践は保証されなければならない。
(3) 何人も、良心に反して武器の使用を伴う兵役を強制されない。詳細は連邦法によって規制されるものとする。

(1) Die Freiheit des Glaubens, des Gewissens und die Freiheit des religiösen und weltanschaulichen Bekenntnisses sind unverletzlich.
(2) Die ungestörte Religionsausübung wird gewährleistet.
(3) Niemand darf gegen sein Gewissen zum Kriegsdienst mit der Waffe gezwungen werden. Das Nähere regelt ein Bundesgesetz.


第5条 [表現、芸術、科学の自由]
(1) すべての人は、スピーチ、文章、写真で自分の意見を自由に表現および広める権利を有し、一般にアクセス可能な情報源から妨げられることなく情報を得る権利を有する。報道の自由、放送や映画による報道の自由は保障される。検閲はあってはならない。
(2) これらの権利は、一般法の規定、青少年の保護に関する規定、および個人の名誉の権利の中で制限されるものとする。
(3) 芸術と科学、研究と教育は自由である。教育の自由は、いかなる人も憲法への忠誠を免れるものではない。

(1) Jeder hat das Recht seine Meinung in Wort, Schrift und Bild frei zu äußern und zu verbreiten und sich aus allgemein zugänglichen Quellen ungehindert zu unterrichten. Die Pressefreiheit und die Freiheit der Berichterstattung durch Rundfunk und Film werden gewährleistet. Eine Zensur findet nicht statt.
(2) Diese Rechte finden ihre Schranken in den Vorschriften der allgemeinen Gesetze, den gesetzlichen Bestimmungen zum Schutze der Jugend und in dem Recht der persönlichen Ehre.
(3) Kunst und Wissenschaft, Forschung und Lehre sind frei. Die Freiheit der Lehre entbindet nicht von der Treue zur Verfassung.


第6条 [結婚 – 家族 – 子供]
(1) 結婚と家族は国家の特別な保護を受ける。
(2) 子どもの世話と養育は親の自然な権利であり、主に親に課せられる義務である。国家は彼らがこの義務を遂行するのを監視するものとする。
(3) 子どもは、親または保護者の意思に反して、法律に基づき、親または保護者が義務を怠った場合、または子どもが重大な無視の危険にさらされている場合に限り、家族から引き離すことができる。
(4) すべての母親は、地域社会の保護とケアを受ける権利を有するものとする。
(5) 婚外で生まれた子供には、婚姻内で生まれた子供が享受するのと同じ身体的および精神的発達および社会的地位の機会が法律によって提供されるものとする。

(1) Ehe und Familie stehen unter dem besonderen Schutze der staatlichen Ordnung.
(2) Pflege und Erziehung der Kinder sind das natürliche Recht der Eltern und die zuvörderst ihnen obliegende Pflicht. Über ihre Betätigung wacht die staatliche Gemeinschaft.
(3) Gegen den Willen der Erziehungsberechtigten dürfen Kinder nur auf Grund eines Gesetzes von der Familie getrennt werden, wenn die Erziehungsberechtigten versagen oder wenn die Kinder aus anderen Gründen zu verwahrlosen drohen.
(4) Jede Mutter hat Anspruch auf den Schutz und die Fürsorge der Gemeinschaft.
(5) Den unehelichen Kindern sind durch die Gesetzgebung die gleichen Bedingungen für ihre leibliche und seelische Entwicklung und ihre Stellung in der Gesellschaft zu schaffen wie den ehelichen Kindern.


[...]


第11条 [移動の自由]
(1) すべてのドイツ人は、連邦領域内を自由に移動する権利を有する。
(2) この権利は、十分な生計が成り立たず、その結果一般公衆に特別な負担が生じる場合、または、連邦もしくは土地の存立もしくは自由民主的な基本秩序に対する差し迫った危険を回避するため、伝染病、自然災害もしくは特に重大な事故の危険と闘うため、青少年を怠慢から保護するため、または犯罪を防止するために必要な場合に限り、法律と法的根拠に基づいて制限することができる。

(1) Alle Deutschen genießen Freizügigkeit im ganzen Bundesgebiet.
(2) Dieses Recht darf nur durch Gesetz oder auf Grund eines Gesetzes und nur für die Fälle eingeschränkt werden, in denen eine ausreichende Lebensgrundlage nicht vorhanden ist und der Allgemeinheit daraus besondere Lasten entstehen würden oder in denen es zur Abwehr einer drohenden Gefahr für den Bestand oder die freiheitliche demokratische Grundordnung des Bundes oder eines Landes, zur Bekämpfung von Seuchengefahr, Naturkatastrophen oder besonders schweren Unglücksfällen, zum Schutze der Jugend vor Verwahrlosung oder um strafbaren Handlungen vorzubeugen, erforderlich ist.


第12条 [職業の自由]
(1) すべてのドイツ人は、自分の職業、職業、勤務地および訓練場所を自由に選択する権利を有する。職業または専門職の実践は、法律によって規制または法律に従って規制される場合がある。
(2) 一般的かつ平等にすべての人に適用される伝統的な社会奉仕義務の枠組み内での場合を除き、何人も特定の種類の仕事を行うことを要求されない。
(3) 強制労働は、裁判所の判決によって自由を剥奪された者にのみ課すことができる。

(1) Alle Deutschen haben das Recht, Beruf, Arbeitsplatz und Ausbildungsstätte frei zu wählen. Die Berufsausübung kann durch Gesetz geregelt werden.
(2) Niemand darf zu einer bestimmten Arbeit gezwungen werden, außer im Rahmen einer herkömmlichen allgemeinen, für alle gleichen öffentlichen Dienstleistungspflicht.
(3) Zwangsarbeit ist nur bei einer gerichtlich angeordneten Freiheitsentziehung zulässig.


[...]


第18条 [基本的権利の剥奪]
表現の自由、特に報道の自由(第5条1項)、教授の自由(第5条3項)、集会の自由(第8条)、結社の自由(第9条)、通信、郵便、電気通信の秘密(第10条)、財産(第14条)、亡命の権利(第16a条)を濫用して自由民主的な基本秩序に反する者は、これらの基本的権利を没収される。没収とその範囲は連邦憲法裁判所が宣告する。

Wer die Freiheit der Meinungsäußerung, insbesondere die Pressefreiheit (Artikel 5 Abs. 1), die Lehrfreiheit (Artikel 5 Abs. 3), die Versammlungsfreiheit (Artikel 8), die Vereinigungsfreiheit (Artikel 9), das Brief-, Post- und Fernmeldegeheimnis (Artikel 10), das Eigentum (Artikel 14) oder das Asylrecht (Artikel 16a) zum Kampfe gegen die freiheitliche demokratische Grundordnung mißbraucht, verwirkt diese Grundrechte. Die Verwirkung und ihr Ausmaß werden durch das Bundesverfassungsgericht ausgesprochen.


[...]


II. 連邦と州

II. Der Bund und die Länder


第20条 [憲法の原則 – 抵抗権]
(1) ドイツ連邦共和国は民主的かつ社会的な連邦国家です。
(2) すべての国家権力は国民に由来する。この権利は、選挙その他の投票を通じて、また特定の立法機関、行政機関、司法機関を通じて国民によって行使されるものとする。
(3) 立法府は憲法秩序に拘束され、行政と司法府は法と正義に拘束される。
(4) すべてのドイツ人は、他の救済策がない場合、この憲法秩序を廃止しようとする者に抵抗する権利を有する。

(1) Die Bundesrepublik Deutschland ist ein demokratischer und sozialer Bundesstaat.
(2) Alle Staatsgewalt geht vom Volke aus. Sie wird vom Volke in Wahlen und Abstimmungen und durch besondere Organe der Gesetzgebung, der vollziehenden Gewalt und der Rechtsprechung ausgeübt.
(3) Die Gesetzgebung ist an die verfassungsmäßige Ordnung, die vollziehende Gewalt und die Rechtsprechung sind an Gesetz und Recht gebunden.
(4) Gegen jeden, der es unternimmt, diese Ordnung zu beseitigen, haben alle Deutschen das Recht zum Widerstand, wenn andere Abhilfe nicht möglich ist.


第20a条 [生命と動物の自然基盤の保護]
将来の世代に対する責任にも留意し、国家は、憲法秩序の枠内で、立法により、また法と正義に従って、行政および司法行為により、生命と動物の自然基盤を保護するものとする。

Der Staat schützt auch in Verantwortung für die künftigen Generationen die natürlichen Lebensgrundlagen und die Tiere im Rahmen der verfassungsmäßigen Ordnung durch die Gesetzgebung und nach Maßgabe von Gesetz und Recht durch die vollziehende Gewalt und die Rechtsprechung.


注:名称として、「基本法 (fundamental law)」と、そのほかいくらかのもの(人権法、相続法、貴族法、"act" と呼ばれる法令を含む)は、任意の国の憲法に相当するものであり、そのように名称こそ違い、一国の中に複数別々の法律の集合体であっても、"constitution"に分類されている。憲法の章立てでは、多くの国の場合、国家や国家元首について規定した章が人権について規定した章よりも先に来る(ただし前文を除く)。日本でも同じことである。ところが、今のドイツ連邦共和国では、第1章が具体的な人権に関するもの、第2章が国家に関するもので内容が進行している。ちなみに、「憲法の循環論法」という非難は、日本国憲法に限らず、多くの国の憲法にも言えるものがある。それについてだいたいの場合は解決される必要がない。

注:自由の濫用の禁止(または濫用を理由とした没収)は、特に表現の自由と言論の自由について、個々の条項に同時に規定される場合がいくらかの憲法で見られていたが、ドイツ憲法では複数の条項で規定された自由と権利について、第18条にまとめて自由と権利の濫用を理由とした没収を規定している。日本国憲法では第12条に相当するが、ドイツ憲法のそれと違い、自由と権利の規定よりも先であり、具体的に何の条項に対して禁止しているかを指示していない。

注:生存権のような規定は見られるが、最低生活保障の根拠として有用な規定が見られない。次のフランス憲法前文にはある。





Constitution de 1946, IVe République (1946年10月27日のフランス憲法、前文のみ有効で残りは廃止)
Fr: https://fr.wikisource.org/wiki/Constitution_de_1946,_IVe_R%C3%A9publique

前文
自由な諸国民が、人間を奴隷化し品位を貶めようとした政権に勝利したことを受けて、フランス国民は、人種、宗教、信条の区別なく、すべての人間が、侵すことのできない神聖な権利を有することを再び宣言する。フランス国民は、1789年の権利宣言に謳われた人間と市民の権利と自由、および共和国法が認める基本原則を厳粛に再確認する。

Préambule
Au lendemain de la victoire remportée par les peuples libres sur les régimes qui ont tenté d'asservir et de dégrader la personne humaine, le peuple français proclame à nouveau que tout être humain, sans distinction de race, de religion ni de croyance, possède des droits inaliénables et sacrés. Il réaffirme solennellement les droits et libertés de l'homme et du citoyen consacrés par la Déclaration des droits de 1789 et les principes fondamentaux reconnus par les lois de la République.


また、現代において特に必要なものとして、以下の政治的、経済的、社会的原則を宣言する:

Il proclame, en outre, comme particulièrement nécessaires à notre temps, les principes politiques, économiques et sociaux ci-après :


法律は、あらゆる分野において、女性に男性と同等の権利を保障している。

自由のために行動したために迫害された者は、共和国領内で亡命する権利を有する。

すべての人は、勤労の義務を負い、雇用を得る権利を有する。何人も、その出自、意見または信条を理由として、その仕事または雇用において不利益を受けることはない。

すべての人は、労働組合活動を通じて自己の権利と利益を擁護し、自ら選択した労働組合に加入する権利を有する。

ストライキの権利は、ストライキを規制する法律の枠内で行使されなければならない。

すべての労働者は、その代表者を通じて、労働条件の集団的決定および事業の経営に参加しなければならない。

国家的な公共サービスや事実上の独占の性格を持つ、あるいは持つようになった財産や事業は、共同体の財産とならなければならない。

国家は、個人および家族に対し、その発達に必要な条件を与えなければならない。

国家は、すべての者、特に、児童、母及び高齢労働者に対して、健康、物質的保障、休養及び余暇の保護を保障しなければならない。年齢、身体的若しくは精神的状態又は経済的状況のために労働することができないすべての者は、共同社会から適当な生活手段を得る権利を有する。

La loi garantit à la femme, dans tous les domaines, des droits égaux à ceux de l'homme.

Tout homme persécuté en raison de son action en faveur de la liberté a droit d'asile sur les territoires de la République.

Chacun a le devoir de travailler et le droit d'obtenir un emploi. Nul ne peut être lésé, dans son travail ou son emploi, en raison de ses origines, de ses opinions ou de ses croyances.

Tout homme peut défendre ses droits et ses intérêts par l'action syndicale et adhérer au syndicat de son choix.

Le droit de grève s'exerce dans le cadre des lois qui le réglementent.

Tout travailleur participe, par l'intermédiaire de ses délégués, à la détermination collective des conditions de travail ainsi qu'à la gestion des entreprises.

Tout bien, toute entreprise, dont l'exploitation a ou acquiert les caractères d'un service public national ou d'un monopole de fait, doit devenir la propriété de la collectivité.

La Nation assure à l'individu et à la famille les conditions nécessaires à leur développement.

Elle garantit à tous, notamment à l'enfant, à la mère et aux vieux travailleurs, la protection de la santé, la sécurité matérielle, le repos et les loisirs. Tout être humain qui, en raison de son âge, de son état physique ou mental, de la situation économique, se trouve dans l'incapacité de travailler a le droit d'obtenir de la collectivité des moyens convenables d'existence.


注:前文に具体的な人権の話がされる、まれな例。前文より後に続く憲法の内容は、1958年10月4日の憲法が更新している。


注:これらはあくまでも「前文」なので、第n条と呼ばれないようである。

注:フランスでも日本でもそうだが、勤労の義務の規定のあたりでは、労働者の権利が規定されている。勤労の義務の具体化は、日本だと生活保護法 第60条くらいだと私は思っている。キリスト教、カトリックの敬虔な人たちが多い保守的なフランスにとっては、聖書における聖パウロ (Saint Paul, サンポール) の書簡のそれと理解されているのでは?ロシア帝国、宗教にコンプレックスを持つマルクス・レーニン主義に基づく旧ソ連、東ドイツ(ドイツ民主共和国)などの憲法でも、勤労の義務に相当する規定があり、東ドイツでは「働く権利と働く義務は一体だ」と断言していた。しかし、自民党員の小野田某甲や大多数の日本人が思っている「基本的人権と各権利は、国民の三大義務を守らないと得られない」などという意味ではなかろう。





Charte de l’environnement (環境憲章、2005年、フランス共和国)
Fr: https://fr.wikisource.org/wiki/Charte_de_l%E2%80%99environnement

誰もがバランスの取れた健康的な環境で暮らす権利を持っている。

Chacun a le droit de vivre dans un environnement équilibré et respectueux de la santé.


すべての人は環境の保全と改善に参加する義務がある。

Toute personne a le devoir de prendre part à la préservation et à l’amélioration de l’environnement.


注:これもフランスでのコンスティチューション、憲法文献の一つ。





Verfassung der Deutschen Demokratischen Republik vom 6. April 1968 (in der Fassung vom 7. Oktober 1974) (ドイツ民主共和国憲法、1974年)
De: http://www.documentarchiv.de/ddr/verfddr.html
En: https://en.wikisource.org/wiki/Translation:Constitution_of_the_German_Democratic_Republic_(1974)

第1条
ドイツ民主共和国は労働者と農民の社会主義国家である。それは労働者階級とそのマルクス・レーニン主義党の指導の下にある都市と農村の勤労者の政治組織である。
ドイツ民主共和国の首都はベルリンである。
ドイツ民主共和国の州旗は黒、赤、金の色で構成されており、中央の両側にドイツ民主共和国の州の紋章が付いている。
ドイツ民主共和国の国章は、小麦の花輪で囲まれたハンマーとコンパスで構成されており、下部は黒、赤、金のリボンで巻かれている。

Die Deutsche Demokratische Republik ist ein sozialistischer Staat der Arbeiter und Bauern. Sie ist die politische Organisation der Werktätigen in Stadt und Land unter der Führung der Arbeiterklasse und ihrer marxistisch-leninistischen Partei.
Die Hauptstadt der Deutschen Demokratischen Republik ist Berlin.
Die Staatsflagge der Deutschen Demokratischen Republik besteht aus den Farben Schwarz-Rot-Gold und trägt auf beiden Seiten in der Mitte das Staatswappen der Deutschen Demokratischen Republik.
Das Staatswappen der Deutschen Demokratischen Republik besteht aus Hammer und Zirkel, umgeben von einem Ährenkranz, der im unteren Teil von einem schwarz-rot-goldenen Band umschlungen ist.


[...]


第23条
(1) 平和と社会主義祖国とその成果を守ることは、ドイツ民主共和国国民の名誉ある権利であり義務である。すべての国民は、法律に従い、ドイツ民主共和国の防衛のために奉仕し、役務を遂行する義務を負う。
(2) いかなる国民も、人民に対する圧迫のための戦争行為及びその準備に参加してはならない。
(3) ドイツ民主共和国は、平和、民主主義、勤労者の利益を擁護するための政治的、科学的若しくは文化的活動又は社会的及び民族的解放闘争への参加のために迫害されている他国の国民又は無国籍者に対して、亡命を認めることができる。

1 Der Schutz des Friedens und des sozialistischen Vaterlandes und seiner Errungenschaften ist Recht und Ehrenpflicht der Bürger der Deutschen Demokratischen Republik. Jeder Bürger ist zum Dienst und zu Leistungen für die Verteidigung der Deutschen Demokratischen Republik entsprechend den Gesetzen verpflichtet.
2 Kein Bürger darf an kriegerischen Handlungen und ihrer Vorbereitung teilnehmen, die der Unterdrückung eines Volkes dienen.
3 Die Deutsche Demokratische Republik kann Bürgern anderer Staaten oder Staatenlosen Asyl gewähren, wenn sie wegen politischer, wissenschaftlicher oder kultureller Tätigkeit zur Verteidigung des Friedens, der Demokratie, der Interessen des werktätigen Volkes oder wegen ihrer Teilnahme am sozialen und nationalen Befreiungskampf verfolgt werden.


第24条
(1) ドイツ民主共和国のすべての国民は、勤労の権利を有する。労働者は、社会的要件および個人的資格に応じて、職業に就く権利および職業を自由に選択する権利を有する。労働者は、労働の質と量に応じて賃金を受ける権利を有する。男女、成人と青少年は、同一労働同一賃金の権利を有する。
(2) 社会的に有用な活動は、労働能力のあるすべての国民にとって名誉ある義務である。働く権利と働く義務は一体である。
(3) 労働する権利は、生産手段の社会主義的所有を通じて、社会的再生産過程の社会主義的指導と計画を通じて、社会主義的生産力と労働生産性の着実で計画的な成長を通じて、科学技術革命の一貫した実施を通じて、市民の継続的な教育と訓練を通じて、統一された社会主義労働法を通じて保障される。

(1) Jeder Bürger der Deutschen Demokratischen Republik hat das Recht auf Arbeit. Er hat das Recht auf einen Arbeitsplatz und dessen freie Wahl entsprechend den gesellschaftlichen Erfordernissen und der persönlichen Qualifikation. Er hat das Recht auf Lohn nach Qualität und Quantität der Arbeit. Mann und Frau, Erwachsene und Jugendliche haben das Recht auf gleichen Lohn bei gleicher Arbeitsleistung.
(2) Gesellschaftlich nützliche Tätigkeit ist eine ehrenvolle Pflicht für jeden arbeitsfähigen Bürger. Das Recht auf Arbeit und die Pflicht zur Arbeit bilden eine Einheit.
(3) Das Recht auf Arbeit wird gewährleistet
durch das sozialistische Eigentum an den Produktionsmitteln;
durch die sozialistische Leitung und Planung des gesellschaftlichen Reproduktionsprozesses;
durch das stetige und planmäßige Wachstum der sozialistischen Produktivkräfte und der Arbeitsproduktivität;
durch die konsequente Durchführung der wissenschaftlich-technischen Revolution;
durch ständige Bildung und Weiterbildung der Bürger und durch das einheitliche sozialistische Arbeitsrecht.





Constitución de la República Bolivariana de Venezuela (CRBV) (1999 con la Enmienda Nº 1 de fecha 15 de febrero de 2009) (ベネズエラ・ボリバル共和国憲法、1999年、2009年改正)
Es: https://es.wikisource.org/wiki/Constituci%C3%B3n_de_la_Rep%C3%BAblica_Bolivariana_de_Venezuela_(1999)
En: https://en.wikisource.org/wiki/Constitution_of_the_Bolivarian_Republic_of_Venezuela/Title_1

第1章 基本原則
Título I. Principios fundamentales


[...]


第3条: 国家の本質的な目的は、個人の防衛と発達及び尊厳の尊重、人民の意思の民主的行使、公正で平和を愛する社会の建設、人民の繁栄と福祉の増進、並びにこの憲法に認められ、かつ謳われている原則、権利及び義務の履行の保障にある。教育と勤労は、これらの目的を達成するための基本的なプロセスである。

Artículo 3. El Estado tiene como fines esenciales la defensa y el desarrollo de la persona y el respeto a su dignidad, el ejercicio democrático de la voluntad popular, la construcción de una sociedad justa y amante de la paz, la promoción de la prosperidad y bienestar del pueblo y la garantía del cumplimiento de los principios, derechos y deberes reconocidos y consagrados en esta Constitución. La educación y el trabajo son los procesos fundamentales para alcanzar dichos fines.


[...]


第87条: すべての人は、働く権利と義務を有する。国家は、すべての人が生産的な仕事に就き、威厳のある品位のある生活を提供できるように、必要な措置の採用を保証し、この権利の完全な行使を保証する。雇用を促進することは国の目的である。自営業者の労働権の行使を保証するための措置は、法律によって採用されなければならない。労働の自由は、法律で定められた制限にのみ従うものとする。

すべての雇用主は、従業員に業務上の適切な安全、衛生、環境条件を保証しなければならない。国家は、これらの状況を管理し、促進することを可能にするような措置を講じ、制度を創設するものとする。

Artículo 87. Toda persona tiene derecho al trabajo y el deber de trabajar. El Estado garantizará la adopción de las medidas necesarias a los fines de que toda persona puede obtener ocupación productiva, que le proporcione una existencia digna y decorosa y le garantice el pleno ejercicio de este derecho. Es fin del Estado fomentar el empleo. La ley adoptará medidas tendentes a garantizar el ejercicio de los derechos laborales de los trabajadores y trabajadoras no dependientes. La libertad de trabajo no será sometida a otras restricciones que las que la ley establezca.

Todo patrono o patrona garantizará a sus trabajadores y trabajadoras condiciones de seguridad, higiene y ambiente de trabajo adecuados. El Estado adoptará medidas y creará instituciones que permitan el control y la promoción de estas condiciones.


第88条: 国家は、労働の権利の行使における男女の平等と公平な待遇を保証する。在宅勤務が付加価値を生み出し、社会福祉と富を生み出す経済活動であると認めている。主婦は法律に従って社会保障を受ける権利がある。

Artículo 88. El Estado garantizará la igualdad y equidad de hombres y mujeres en el ejercicio del derecho al trabajo. El Estado reconocerá el trabajo del hogar como actividad económica que crea valor agregado y produce riqueza y bienestar social. Las amas de casa tienen derecho a la seguridad social de conformidad con la ley.





Constitución de Cuba de 1940 (キューバ憲法、1940年、後に廃止)
Es: https://pdba.georgetown.edu/Constitutions/Cuba/cuba1940.html
En: https://en.wikisource.org/wiki/Constitution_of_Cuba_(1940)

第2章 国籍

8. 市民権には義務と権利が含まれており、その適切な行使は法律によって規制されるものとする。


9. すべてのキューバ人には次の義務がある。
( a ) 法律で定められた場合および方法で、武器を持って国に奉仕すること。
( b ) 法律で指示された方法および金額で公費を納めること。
( c ) 共和国の憲法と法律を遵守し、善良な国民として行動し、この習慣を自分の子供たちと彼の世話下にある人々に教え込み、彼らに最も純粋な国民の良心を教え込むこと。


10. 国民には次の権利がある。
( a ) 人種、階級、政治的意見、宗教的信念に関係なく、いかなる種類の差別や恐喝も受けることなく自国に居住すること。
( b ) 共和国で召集される選挙および国民投票において、法律の定めるところに従って投票すること。
( c )事前に貧困であることを証明することにより、社会扶助および公的協力の恩恵を受けること。
( d ) 公務を遂行し、公職に就くこと。
( e ) 憲法と法律が定める雇用の優遇を受けること。

Título II - De la nacionalidad

Art. 8- La ciudadanía comporta deberes y derechos, cuyo ejercicio adecuado será regulado por la Ley.


Art. 9- Todo cubano está obligado:
a) A servir con las armas a la patria en los casos y en la forma que establezca la ley.
b) A contribuir a los gastos públicos en la forma y cuantía que la Ley disponga.
c) A cumplir la Constitución y las Leyes de la República y observar conducta cívica, inculcándola a los propios hijos y a cuantos estén bajo su abrigo, promoviendo en ellos la más pura conciencia nacional.


Art.10- El ciudadano tiene derecho:
a) A residir en su patria sin que sea objeto de discriminación ni extorsión alguna, no importa cuáles sean su raza, clase, opiniones políticas o creencias religiosas.
b) A votar según disponga la Ley en las elecciones y referendos que se convoquen en la República.
c) A recibir los beneficios de la asistencia social y de la cooperación pública, acreditando previamente en el primer caso su condición de pobre.
d) A desempeñar funciones y cargos públicos.
e) A la preferencia que en el trabajo dispongan la Constitución y la Ley.


[... 第4章 家族と文化]


44. 親は子供を支援し、援助し、訓練し、教育する義務があり、子供は親を尊重し援助する義務がある。法律は、適切な保証と罰則によってこれらの義務の履行に努めるものとする。(後略)

Art. 44- Los padres están obligados a alimentar, asistir, educar e instruir a sus hijos, y éstos a respetar y asistir a sus padres. La Ley asegurará el cumplimiento de estos deberes con garantías y sanciones adecuadas.


注:日本人が好きな「国民の三大義務」は、この当時のキューバだと「国土防衛(具体的な関連法規に従うため兵役だけとは限らない)、納税、『法令順守と善行』の励行と格下への普及」のようである。cf., 2019年のキューバ憲法第90条のキューバ国民の義務。

注:第44条には、日本の自民党改憲案「家族は、互いに助け合わなければならない」をもっと具体化したような「義務」が記されている。この義務は、2019年のキューバ憲法において、第84条にある。2019年のキューバ憲法には、青少年についての条項、高齢者についての条項など、もう少し現代的で良識的な条項もあり、内容が膨らんでいる。





Regeringsform (Regeringsformen, RF) (1974:152, 2010) (政府の形態、または日本右翼に有名なドイツ語 Regierungsform の訳語である政体、1974年)
Sv: https://beta.rkrattsbaser.gov.se/sfs/item?bet=1974%3A152
En: https://en.wikisource.org/wiki/Instrument_of_Government_(1974)

第17条 経済的自由
事業を経営したり職業を実践したりする権利に対する制限は、差し迫った公共の利益を保護する目的でのみ導入される場合があり、特定の個人または企業の経済的利益を促進するためだけに導入されることは決してない。
サーミ人がトナカイ飼育を行う権利は法律で規制されている。

17 Näringsfrihet § Begränsningar i rätten att driva näring eller utöva yrke får införas endast för att skydda angelägna allmänna intressen och aldrig i syfte enbart att ekonomiskt gynna vissa personer eller företag.
Samernas rätt att bedriva renskötsel regleras i lag.


注:スウェーデンの憲法が人権について記すことは全面的に好印象だが、この部分はかなり気になった。具体的に、どのようなトナカイ飼育規制の法律があるか?





Constitution of Texas (2022) (テキサス州憲法、2022年)
En: https://en.wikisource.org/wiki/Constitution_of_Texas_(2022)

第4節。[宗教的試験]。この州ではいかなる役職や公的機関への資格として宗教的試験を要求することは決してない。また、その人が至高神の存在を認める限り、その人の宗教的感情を理由にその職に就くことから排除されることはない。

Section 4. RELIGIOUS TESTS. No religious test shall ever be required as a qualification to any office, or public trust, in this State; nor shall anyone be excluded from holding office on account of his religious sentiments, provided he acknowledge the existence of a Supreme Being.


注:アメリカ合衆国の個別の州の憲法は、前文から全能の神 (Almighty God) を呼ぶ内容が多い。中でも、テキサス州やメリーランド州 (Maryland) などは、その神に相当するものへの信仰に結びつきの強い条項が多い。私が思う分には、キリスト教に限らず、ユダヤ教、イスラム教、さらにはそれら一神教の流れ以外の同種の宗教が包摂されているか。この条項が実際に誰か無神論者の公職が妨げられたりしたことはない、という話がある。とはいえ、無神論者は、テキサス州で公職に就きたいという意思を持ちづらいか、そういう職場の居心地が悪いものに感じられるのではないか。







起草日:2023年9月3日

必要事項をすべて編集しきって体が疲れた段階で、とある愛知県在住の高齢者による、大量転載された「当事国以外はどうでもいい、ワグネル反乱 (Wagner Group rebellion) とプリゴジン死亡 (Prigozhin)」に関するロシア系プロパガンダ投稿物の一部(長い内容の最後の部分だけ)をたまたま見た。
ワグネル反乱だとかプリゴジン死亡だとかのエピソードは、もともと私にとって名前程度しか知らない(ロシア内部の出来事である以上、「陰謀論」認定のすりつけあいしかされない領域なので興味が無かった)。
無関係だが、その「たまたま見た投稿物の一部」の意味合いは、今回の記事へのアンチテーゼそのままとも感じられた。
プーチン大統領が何を考えて「俺のキライな奴らは、人権を謳いながら犠牲を作る」などと発言しているのか、私は知らないし、たまたま目にした以上に目にしようと思わない。

※少なくとも、「人権尊重と相関性の高い社会保障費が財政的な犠牲だ」、ということではなかろう。彼はアムネスティー・インターナショナルのような人権団体、人権派弁護士などに神経をとがらせているのかもしれない。それと、ロシアや中国のような権威主義国家の政治関係者は、しばしば、アメリカ合衆国などが彼らの国と支配者を、リビアのカダフィ大佐 (Gaddafi) や、アルカイダのビンラディン (Osama bin Laden, bin Ladin) 、イラクあたりと同じ結末にしようとしている、と表現したプロパガンダを載せている。この発言の意図も同様か。西側諸国の「人権」が、彼らにとっては独裁者の命や不運にも巻き込まれた戦地の一般人とトレードオフで実現されるものに見えるらしい。ロシアの野党の代表者であったナワリヌイ氏 (Alexei Navalny) に対する神経毒「ノビチョク (Novichok, Новичо́к)」による暗殺未遂など、当然、ロシアや中国が国家的にターゲットの個人を攻撃しようとしていると、西側諸国から断定されている。そして、大多数の西側諸国の民衆には、完全に無関係であり、目指すものも見えるものも違うから、そういう極端なロシアや中国のプロパガンダを見る恩恵は、ほぼない(UMIの山下や荒木を含めた彼らはなぜか興味津々)。それだけ分かれば十分である。

※その愛知県在住高齢者は、常に権威主義者を好んでおり、イーロン・マスクの「言論の自由(憲法とは別の、彼の独特な理解に基づく新概念)を抑圧しようとする者は、彼自身にそれが降りかかる」などという哲学めいた発言を「珠玉の言葉」と評して、別の時期のプロパガンダ投稿の最後に引用していた。この引用も発言者の非凡な背景と認識でないと理解できない。支配者として生殺与奪の権を掌握するイーロンくんの「エックス言論の自由絶対主義共和国」では金科玉条の真理なのだろう。力のある者が今時、その権勢を誇示することなど、前時代的な恐怖支配の方法でしかなく、浮世離れしている(マスク氏が短期間に多数のアカウントバン、従業員削減、責任者辞任と解任に関与していることが知られている)。しかし、マスク氏のTwitter ("X"改称前) は、モディ率いるインド政府やエルドアン率いるトルコ政府からの検閲要求に、従来よりも多く応じていたという報告 (1, 2) があり、「言論の自由の新時代をもたらすという使命を果たせていない」と評論家 Zeeshan Aleem は独自の判断で言う。プーチンに同じく、マスク氏は「言行不一致」であろう。

※ドナルド・トランプを含む権威主義者たちとそのフォロワーは、これまでそうであった(トランプ氏の起訴された例は多い、特に最近のジョージア州の件;マスク氏は資産を多めに失うなどした)ように、どのような結末にも、後悔が無いようである。彼らは飽くなきまでに、影響力を得続けることを欲している。そこまでして「他者を圧倒する力」が必要なのであろうか?彼らのシンパシーが共有できる人は、世界に0.01パーセントもいない。あたかも高所の綱渡りがどんどん高所になる中で、足場を保ちながら前に進み、さらには下にナイフや爆弾を投下し続け、しかも「慈悲の甘露雨だ!世界平和!」と大音声を発するように、そのふるまいをする人々である。彼らの精神病質の態度を見習いたい人は、経営者や政治家やそれらを志望する人たちであろう。私は、心理学者や精神分析家の真似をしたいのではなく、その荒れ狂う綱渡りの光景を見たくもないことを表明したい。SNSなどには極力、関わらず、おとなしく暮らすことを志向している。自分のライフスタイルを、わざわざ他人に勧めることも、綱渡りに等しいので、あまり、しようとはしない。

※なお、上記の著名な経営者、政治家たちは、一般的にトランスフォビア (transphobia) とされている。当記事ではジェンダーの話をしていないが、今も日本ではトランスジェンダー(性自認)と同性婚のようなジェンダーに関する裁判、司法判断(違憲か、合憲か)が進行している。LGBTQに有利な判決が下ったとして、そのことがただちに憲法改正につながるとは限らない。私にとって日本国憲法の改正が必要だと感じる部分は、それと別にある。



この記事は、後で私自身が見返して利用することを目的とした備忘録である。
正と反の必要な範囲を載せきったならば、ひとまずそれでよい。
他者に対する自己犠牲としてやる意思は、本当に捨てないと、私は他人よりも中途半端な不幸を頻繁に受けやすいから、心身が持続しなくなる。
そういう心境と同時に、人生全体を思うと、私自身を「生まれてはいけない命」と自認することが、昨今はすごく多くなっている。
憲法(時代とともに改正が必要なもの)の話題がその社会的心理の根本的な改善のために必要だ、と改めて私は感じる。

2023年10月15日日曜日

食べ物と飲み物の合理的な好き嫌い(食育と経済の将来像)

任意の食べ物と飲み物についての忌避する(嫌う)もの:
1. 物理的な抵抗と刺激の強さ
2. 栄養成分の一般的なエビデンスに基づく生理的特徴
3. 社会性に基づく官能的特徴
4. その他



「合理的」といって雁字搦めにされてもあれだから、あまり厳しすぎないように自分でも加減している。
実際のところ、以下のようなもので、継続できている(持続可能)。
明確にダイエタリープラン (diet, dietary plan; 軽い造語、ダイエタリーはダイエトリーとも読む) を組んでいるとも言えないが、だいたい毎日のスケジュール管理に食事メニューが含まれている。





1の具体例:

・口腔粘膜などを傷つける
;いわゆる、口内炎になってしまう。
;かたいものそれ自身と、それを噛んだ後の破片。
;実際に食べる際、注意していれば回避できるとも思えるのだが、注意を強めても傷つく結果になれば、かなり抵抗が生まれる。加工食品に関しては個別の商品、個体や部位の状態(e.g., 焼成のできあがり具合など)によって「傷つける性質の差」があり、実際に食べてみてからそれについてこちら側が判断することになる。

・歯に詰まる
;ただでさえ詰まるのでも厄介なのだが、性質の悪いものでは、第三大臼歯が生えかけのときや、生えた後で、そこに詰まったものが奥の口腔粘膜を傷つけることもある。

・歯に刺激を与える
;知覚神経に対する冷たいもの。
;石灰質に対する酸味料。



2の具体例:

・一時的であれ、長期的であれ、健康診断の項目で「悪い」とみなされる数値の要因になる
;私は健康診断(企業とかでされる定期健診)というものを一度も受けたことが無いので、仮想する程度になる。
;高血圧症、高脂血症みたいなものは代表格。LDLコレステロールになりうるもの (e.g., トランス脂肪酸) をあまり食べないとか、飽和と不飽和とを問わない脂肪酸のトリグリセリド(トリグリセライド、中性脂肪)の多い揚げ物を多めに食べない(特に私はめったに食べない)というもの。塩分も、量について警戒している。塩分もといナトリウム化合物の生理的影響を軽減したいときは、カリウム化合物(海藻、野菜などに多い)を多めに摂ることで期待される。

・蛋白質(タンパク質、プロテイン protein, ペプチド peptide)の複雑な特徴がほぼブラックボックスだが、いくらかの種類は生理的に望ましくない
;ただし、カゼイン、グルテンは、はっきりとアレルゲンにならない(アレルギーでない)私にとって関係ない。
;グルテン系の蛋白質にオピオイド様ものがあって幻覚作用があるというのは、しっかりと研究されていないか、少なくとも通説になっていないと思う。

・カルシウム (calcium) やカリウム (kalium or potassium) といったミネラル分 (minerals) の存在様態がほぼブラックボックスだが、いくらかの種類は生理的に望ましくない
;シュウ酸塩 (oxalate, oxalic acid) のうちでカルシウムやカリウムの化合物があり、特にシュウ酸カルシウムは針状結晶となっていろいろな刺激や疾病の原因になる(特に、腎臓へのダメージ、尿路結石といった泌尿器の病気)。ホウレンソウをはじめとした「カルシウム豊富」野菜というのは、シュウ酸塩として多く含んでいる種類が多い。栄養学で、はたしてカルシウムという名のシュウ酸カルシウムみたいな「悪玉」のものを、栄養成分表示の数値に含めているか、いないか、一般に情報が得られない。シュウ酸カルシウムは、ある意味トランス脂肪酸みたく、生体利用率(バイオアベイラビリティ bioavailability)が低いなどでまがい者扱いされる。ビーガンの落とし穴は、たんぱく質、カルシウムに至るまで、かなり多い。一部のヴィーガンはよくご存じかと。https://www.bbcgoodfood.com/howto/guide/best-vegan-calcium-sources


3の具体例:

・口臭などの体臭につながる
;ニンニク系の硫黄化合物などは代表的なもの。
;食べるタイミングを選べば、気にならない場合がある。
;余談だが、大腸の内部ガス発生における、悪臭の種類は、食中毒との結びつきが強い。正常な範疇では水 H2O と二酸化炭素 CO2 が菌の原生生物、酵素による分解の副産物として多めに発生するが、硫黄化合物や毒素などを多めに作る菌(いわゆる悪玉菌。クロストリジウム属 Clostridium spp. に多い)の活動は、人間が食べるに適さないものを食べた結果で、大腸内で強くなったりする。それが大腸内部ガス(気体混合物)における悪臭の原因の化合物を増やし、濃度(単位 ppm などであらわされる)を上げ、悪臭の形で食中毒や大腸内生態系の異常を伝えてくる、という構図である。



4の具体例:

・食べていると不可抗力で、目に見えて分かる大きさまたは分からない大きさの食べかすが落ちる
;クッキー、ビスケット、スナック菓子に多い。シーズニングパウダーも、それなりに分かりやすく落ちたり、口の周りに付着しやすい。
;それ以外でも、あまりにも小さくて目に見えないものとか、香りの成分(香気成分の分子。蛋白質や炭水化物の高分子よりも小さいし、生理活性がほぼない)とか、そこまで細かく気にする必要はない。
;部屋を汚したくない、ケア少なめで衛生的に保ちたい人にとってストレスにつながる。
;1, 3の特徴に近いが、どちらにも分類しがたいので、4に分類した。

・夏場に限り、発汗作用のある物質 (e.g., 唐辛子のカプサイシン) を含んでいるものを食べることにより、汗をかきそうである
;汗をかくときの身体的、精神的不快感がある。さらに、不衛生であったり、体臭と衣類の汚れの原因にもなる。これらの特徴に注意して「汗マネジメント」をしていれば、まだ何とかなるかもしれないが、不快感が勝る限り、夏場には控えることが望ましい。
;冬場のカプサイシン摂取が、最終的に体を冷やすことになる、とする言説もある。
;1, 3の特徴に近いが、どちらにも分類しがたいので、4に分類した。





これらの事項から、私が2023年3月の独立完了以後ほぼ自発的に買って食べないものの例:
・一部のスナック菓子
;ポテトチップス (1, 2, 3, 4すべてそろう) は筆頭か。2023年6月現在、一度も購入していない。とうもろこしコーンスターチや、じゃがいも馬鈴薯でんぷんの生地のものがこれに続く。



スポーツドリンクなどは、あまり酸味料を多く入れないでいただけると、助かる。
謎デザイン「#そんなに甘くない」とやらのアクエリアス、あれでさえもそんなに(分かりやすい量の)酸味料を添加するのっていかがなの?
それだと、ショ糖(スクロース scurose、グラニュー糖の主成分)や果糖ブドウ糖液糖やブドウ糖果糖液糖やの中のブドウ糖(グルコース glucose)を口内(口腔内)の乳酸菌が分解して乳酸 (lactic acid) を作り出して「う蝕(虫歯の原因)」するのと同じような程度の酸(何の酸 acid か特定不能だが味覚受容体が酸っぱいと感じる酢酸や乳酸みたいなもの)が、残ってしまうから、口直しの水を用意せずにはそれを飲む気分になれない。



2 の中で揚げ物について否定的に言及したが、揚げ物であっても「あえて何かをそれとして食べるのに良いと言える側面」がある。
魚の骨、エビの殻が、高温の油に触れる形で揚げ物になると、食べやすくなる。
普通の焼き方をした時と比べて、しなやかさが無くなり、砕けやすくなる。
栄養価についてはなんとも言及しがたいが、期待しているのであれば、これが手軽で食べやすい方法になる。
魚の骨、エビの殻については、揚げる以外に、油を多めにして焼く方法も同じくらい。
サバの缶詰のようなものを作る方法は、さすがに家庭で行うことは難しい。
魚の骨に限れば、圧力鍋を用いる方法が考えられる。



水素添加 (hydrogenation) によるトランス脂肪酸の発生の図 


日本企業の、ショートニングを多かれ少なかれ使っている菓子(某ミニサイズのブラウニー)を、たくさん買う、太めの女性が某スーパーマーケットにいた。

商品としてはファミリーパックのもの(1点に9個の個包装が封入されている)で、点数は6つ、そこのスーパーが頻繁にする菓子1割引きセールやポイントn倍でもないタイミングで。
私見では、本人、またはその家族は、食物依存症に近いメンタルとみられ、毎日、かなりショートニングを摂取していそうである。
国家や行政の保健当局および企業などは、「トランス脂肪酸の過剰摂取は日本にない」という否認主義を改め、実際に個人としてそうなっていると疑われる人たち(少数派)がいる前提で、可能な限りヨーロッパや北米のように規制することを検討していただきたい。
公衆衛生の健康の国家全体主義から転換して、国家個人主義で個人の幸福を助けるために(人権侵害とならない範疇で)運用されないと。
トランス脂肪酸規制は人的被害なく可能だろうけど、諸外国の先行事例を参照できるよね?
人々の「おいしく健康を害しない幸せ食生活」のための規制が進まないのは、ショートニングとマーガリンの油脂業界既得権益、癒着、雇用が惜しいから?

日本企業たちは、どうも、「マクロビ派(森永)」みたいに、ショートニングとマーガリン不使用でトランス脂肪酸0(自然の植物性油脂はエライジン酸のようなトランス脂肪酸が0か0と表記できるほど微量であり、バターなど動物性油脂は少量ある点に注意)を謳うものが贅沢品であるように仕立てたいようである。
そういうニッチな方法で高単価にせず、欧米のように、普通のものとして扱い、市場から消費者が選択しやすいリーズナブルな価格帯で提供すべきである。
そうでないと、欧米に後れを取るのみならず、中国、マレーシア、インドネシアそのほか、欧米以外の国々に出し抜かれてしまう。

※日本で一般的に販売されるマーガリンは、部分水素添加油脂 PHOs の量を削減しているとメーカーが主張しているが、加工食品に使われるマーガリンやショートニングにどれほどPHOsが使われているかは、にわかに知りがたい。なお、アメリカ(当局:FDA, 2018年6月18日から)、シンガポールのように厳しく使用と生産とを禁止しなくてもよい。他国がこうして突き進んでおり、多かれ少なかれ、日本企業のうちで、対応はされているが、当然、国内ではそんなに進んでいないし、消費者の意識も全体としては上がっていない。もし切り込み隊長がいれば、貧乏くじやババ抜き負け組みたいにされかねない?否、先見の明というよりも日本国の遅れ具合が異常だと気付かせなければならない。

※日本語でショートニングやマーガリンやファットスプレッドと呼ばれる、食用加工油脂群は、同じ呼び名でも、業務用に売り出される製品として特長に差があったりする。諸外国だと、マーガリンでありながらトランス脂肪酸0とされるものもある(注意:とあるマレーシア製オーツ麦クッキーの商品から読み取った情報なので、油脂製品自体を見たわけでない)。日本企業の例として、「太陽油脂」社の製品カタログ https://taiyo-yushi.co.jp/service/oil-fat/ (リンク先にPDFあり) を見る分には、トランス脂肪酸への言及が無かった。なお、豚から作られるラード (lard) は、昔から、今でいうショートニングなどと同じ用途で使われており、天然のトランス脂肪酸を含む食品の例に当たる。

※レーズンサンド系の商品は、ブルボン社の「ガトーレーズン」をはじめとして色々とある。東ハト「オールレーズン」は違う種類だが、どちらにせよショートニングを使っている(2023年6月現在)。某ディスカウントスーパーで見た某レーズン入りバターサンドは6個600円台(税込)、と高いのだが、それでさえもマーガリンとショートニングをどっぷり使い、不使用のものは北海道の明治期創業というところの5個700円台(税込;おみやげ仕様、贈答品にも使える)、とさらに高い。もとがショートニングまたはマーガリン使用かつ安いところのそれが、不使用となって少しの値上げになっても、こちらとしては悪く感じない。露骨にお高いものよりは手頃だから(実際にそうであればの話)。というか個包装商品が多いね、脱炭素社会、カーボンプライシング云々もあるし、低価格帯では適当な個数のパック商品で個包装廃止でもよいのでは?輸入菓子を買うと、よほど日本向け仕様でもない限り、個包装でない。レーズンサンド系は、成城石井で売っているスペイン製ダイジェスティブビスケット(全粒粉)とか、業務スーパーで売っているイタリア製クッキー(オーツ麦、全粒粉)とかのと違って粉と砕片が多くなるのでもないし、個包装なしでもかまわないと思うけど。逆に個体どうしが張り付いたりもしないだろうし。

「気にする人」は少数派だと思うか?
「ニッチーなものは高値で出しても売れる(高くても買う人がいる)」、という考えを切り替えることが、これからの持続可能な社会や、多様性重視の社会に必要だと、さすがに気づいていただきたい。
※実際のところ、菓子メーカーの大企業は、重々承知?国際的には困難でも、国内的には流通できてしまう。それとも、まさか国内で流通しているショートニング使用菓子でさえ、PHOsではない原料由来のショートニングだとでも?
私は、お試しで買ったりもするが、続けるとランニングコストが大きいので、「こういうもの」と分かる程度にとどめて色々と違うものを買っていたり、多くの場合に金銭的負担の少ないものに妥協している。

ショートニングとマーガリンの油脂業界既得権益を守るにしても、使うものについては二者択一にしてほしい。
どっちも使われていると、どっちが何のために使われているか、にわかには知りがたい。
一個の加工食品が、パーツごとにも加工食品であり、それが複数の会社の分業で(e.g., パイ生地は会社Aの工場、ホイップクリームは会社Bの工場)作られている結果として、ショートニングとマーガリンが別々に使われたのか、あるいは、1個の工場でショートニングとマーガリンが同時に(同じ製造ラインで)使われたのか、それも、原材料名の一覧で察しうるものと、察しえないものとがある。

マーガリンと言っても、本来はトランス脂肪酸を含まないものであったようで、マーガリンとされるものが実際にどういうものか、判別が難しい側面もある。
というわけで、「マーガリンを冷蔵で固形、融点が低めの油脂」として活用したければ、せめてトランス脂肪酸の含有量を菓子の「栄養成分表示」に記す努力義務が求められる。
あの太めの女性とその家族とかでも、栄養計画のしやすいように、当然のこと。
「生乳大量廃棄」とうっとうしいことを数年来、農林水産省(農林水産大臣を含む)と酪農業界が主張する割に、バターを高値で売り続けている。
困ったときはバターやバター香料をたくさん作ってください。
下請け工場の稼働能力なんて知りませんから。
まあ、バターを謳うのでなければ、ああいう「トランス脂肪酸0」輸入菓子は、ヒマワリ油などを使っていた。
品目による。





「好きな食べ物」について

表題に「好き嫌い」と書きながら、「好き」サイドの話をしていなかった。
好きな食べ物についての質問は、長年、私にとって回答に困る事柄であった。
なぜならば、常々、体の健康と心の健康とを重んじている上で、偏ってスキスキを言う態度そのものにも疑問が強かったからである。

今だと、明確な答えが言える:
先の「忌避する(嫌う)もの」に当てはまらないもの(例外的に軽度に当てはまるものを含む)のうちで、あまり高額にならない範疇で「比較的おいしい、かつ品質の良い」もので、さまざまな「食べ飽きない」バリエーションを得られる限りでは、どれでも、その時その時の購入対象にはなる。
換言すると、好きだから購入するというわけでなく、購入しているから好きというわけでもない。

表現としては長くなるし、はっきりと「好き」と言う形にはならないが、今の私の答え方としては、こうなる。
色々なローテーションがされているほうが、「それなりにおいしく食べる」方法である。
誰かしら、食べ飽きることの多い人にとっても、特定の食べ物の好き嫌いを簡単に言うのは抵抗があるはずである(何か「○×が好きなんだなぁ」キャラを演じる気でもない限り)。
結局は、色彩感覚(好きな色?単色?配色?)にも言えることだが、私は中立的にバリエーションを重視している。

このような回答であっても、普通の回答であっても、どのみち面倒な思いを懐くに違いない。
今後は回答拒否を進めたい。





起草日:2023年6月22日

カタカナ語としての「ダイエット (diet)」 を、「食事計画」全般を意味する、英語と同じ広義の意味を加える形で修正することは、望んでいない。



「学校という名の社会的排除 (social exclusion) 機関」から離れた私のように学習することは、 "money rich, time poor" 傾向の強い一般社会人に難しいこと。
一般社会人でそれができるようになるには、ダウンシフト (down shifting) などを推進する必要がある。
それは、禁欲やミニマリズムを実践して自慢げになる態度と完全に異なり、多くの人にとって「1日や1週間の労働時間を減らす」、「燃え尽き症候群 occupational burnout (syndrome) を避ける」、「今までよりは、足るを知る、の状態」という社会的、心理的な改善から実利的な結果を狙っている。
日本では特に、長年、「勤労の義務 (他の先進国ではフランス憲法前文 devoir de travailler くらい)」をスティグマに用いた国民全員にとって難しかったので、今もなお、意識的な消費者 (conscious consumer) は少ない。
ワークライフバランスと選挙投票率の相関性について、私は言及したことがあったが、これもそれも、ほとんど同じ性質の結果である。
平穏だと、日本が他の先進国の後を追っている現状で、時間が解決するように思うかもしれないが、もっと意識的に進めてほしい。
意識に乏しいと、結局は、パンデミック(コロナ禍)と戦争のように最初の兆候がある程度分かりやすくてゆっくりと進むものから、大震災のように突発的なことから素早く多くの被害が生じるものなど、危機の前では流言飛語を鵜呑みにするなどし、人権侵害がまかり通ってしまう。