2021年5月21日金曜日

IV-VトリプルシャープIV-V進行、同主調の和声型転調、三全音転調

表題の3点についての説明をするが、本ブログの前回記事も参照されたい。
今回から転調のための記号を ! (半角の感嘆符) でくくり、上昇を示す場合は♯(シャープ U+266F)とその音程の半音の数に等しい数 (e.g., !♯2!で長2度上げ) をいれ、下降を示す場合は♭(フラット U+266D)にその音程の半音の数に等しい数 (e.g., !♭4!で長4度下げ) をいれる。
キーと調、スケールと音階のようにところどころ、同じ指示対象に違う言葉を用いているので、そこは注意してほしい。



IV–VトリプルシャープIV–V進行またはIV–V短三度上げIV–V進行;で何らかの次の和音

キーC = Amでは [F, G, F♯♯♯=G♯(or A♭), G♯♯♯=A♯(or B♭)] となり、そのまま何らかの和音に繋げる。
トリプルシャープと理解する場合、ナチュラルとしての次の和音は [C] または [Am] になる。
短三度上げ転調と理解する場合、そのまま続く次の和音は [D♯=E♭] または [Cm] になる。
これらは「[M](任意のメジャーコード) または [m](任意のマイナーコード)」として挙げられたが、マイナーコードの方はそのピカルディの三度(マイナー主音の和音で長三度とすること)を用いる和音でも可能である。
見出しの名前に関しては、「トリプルシャープIV-V終止」や「短三度上げIV-V終止」とも言えるが、これに関する問題点については記事末尾に記す。

曲例:
76bar73 in /C to E♭/ [IVΔ6, VΔ6, !♯3! IV, V, VI (FΔ6, GΔ6, A♭, B♭, C)]
236bar148 in /D♯m/ [VI, VII, VI♯♯♯, VII♯♯♯, i (B, C♯, D, E, D♯m)] (メジャーキーで度数表記すれば [IV, V, IV♯♯♯, V♯♯♯, vi])
411bar117 in /D to F/ [IV, V, !♯3! IV, V, IV (G, A, A♯, C, A♯)]
717bar82 in /E♭/ [IV V, IV♯♯♯ V♯♯♯, IV (A♭ B♭, B D♭, A♭)]
; この部分が属するパートの主要な8 + 6小節1楽節のうちに属さず、次の反復する楽節の前に挿入された2小節である。1小節の半分に2つの和音があると見立てられるるので、コンマを減らしてある。この部分が属するパートは、開始がIV-V-I進行 (A♭, B♭, E♭) であり、繋げられた和音 [IV] はその先頭に当たる。このパートの最後や、類似のパートの最後=終止は [IV, IV♯♯♯ V♯♯♯ (A♭, B D♭)] である。
202102141213bar112 in /C♯m = E/ [IV, V, IV♯♯♯, V♯♯♯, VI (A, B, C, D, E)]
; C♯mの曲だが終止の次のコードだけEメジャーコード=ホ長三和音、トリプルシャープではなく短三度上げ = Em 転調の後にマイナー主音Eピカルディの三度メジャーコードとも理解できる。

参考動画、『ABCDE進行 in E vs. ABCDG進行 in E to G (ABCD終止 cadence)』


4小節構成のコード進行のドミナント終止の後に2小節のつなぎとして同じ音高の和音を用いる方法も見られた。
曲例:
689bar97 in /E = C♯m/ [vi, IV, V, V, IV♯♯♯, V♯♯♯, I (C♯m, A, B, B, C, D, E)] (マイナーキーで度数表記すれば [i, VI, VII, VII, VI♯♯♯, VII♯♯♯, VI])
;Bを2小節分として見て2回記した。

サブドミナント部分が延び、またはドミナント相当をドミナント部分が無い状態から同じ音高の和音を用いる方法も見られた。
曲例:
717bar14 in /E♭/ [I5 V5, IV5, IV♯♯♯ V♯♯♯, I5 (E♭5, B♭5, A♭5, B5 D♭5, E♭5)]
; あえて原曲通りのパワーコード表記にする。717の別の楽節を示した際の注釈で少し触れた、その内容である。
717bar37 in /E♭ to D♯m/ [IVΔ6, V7, I, iii7sus4 ii5Δ6, IV, !♯3! IV V, i (A♭Δ6, B♭7, E♭, G7sus4 F5Δ6, A♭, B D♭, D♯m)]
; 717bar82を示した際の注釈で少し触れた、その内容である。
797bar63 in /E/ [I, iii, IV, IV♯♯♯ V♯♯♯, I (E, G♯m, A, C D, E)]

8小節構成のコード進行の終止として同じ音高の和音が使われるが、トリプルシャープIV–Vとも短三度上げIV–Vともつかない位置づけ [V♯ VI♯] の例もあった。
曲例:
318bar76 in /E♭/ [I, I, iii, III, vi, vi, I, I, IV, iv, iii, vi, IV, V♯ VI♯, I (E♭, E♭, Gm, G, Cm, Cm, E♭, E♭, A♭, A♭m, Gm, Cm, A♭, C♭, D♭. E♭)]
635bar41 in /D♭/ [IΔ6, iv7, I, II7, IV, III7 vi, IV, V♯ VI♯ (D♭Δ6, G♭m7, D♭, E♭7, G♭, F7 B♭m, G♭, A B)] (上掲の前回記事にも載る)

例外の曲例:
784bar189 in /Bm to Dm to Fm/ [IV, V, !♯3! IV, V, !♯3! IV, V, VI (G, A, A♯, C, C♯, D♯, F)]
; これはナチュラルのマイナーまたはメジャーコードを5番目のコードにせず、トリプルシャープがもう1回来る;というよりは最初から短三度上げを2回している。終止「次の和音」は2回めの短三度上げのキーFm=ヘ短調におけるピカルディの三度になっているFメジャーコード=ヘ長三和音。
934bar1 in /Dm to Fm/ [IVΔ6, VΔ6, !♯3! IVΔ6, VΔ6, i (B♭Δ6, CΔ6, D♭Δ6, E♭Δ6, Fm6)]
; マイナーキーの例、繋げられる和音が転調後の同名マイナーコード;長6度ノートや短6度ノートは除いても和声的骨格は同じ。
; 13小節めからは [[IVΔ6, VΔ6, !♯3! IVΔ6, VΔ6] が更に開始の和音どうしでの長三度に上げてもう一度行われるという執拗さであり、前2つの和音がトリプルフラットであるとみなしたくなる。つまり、上の進行は /Fm/ [[IVΔ6♭♭♭, VΔ6♭♭♭, i] となり、こちらは /Fm to Am/ [IVΔ6♭♭♭, VΔ6♭♭♭, IVΔ6, VΔ6, !♯1! IVΔ6♭♭♭, VΔ6♭♭♭, IVΔ6, VΔ6, i] となる。
思いついた世間の曲例"Mario Kart Double Dash - Rainbow Road.mid"bar1 in/G to B♭ to F/ [IV, V, !♯3! IV, V, !♯3! V (C, D, D♯, F, C)]
; 繋げられる和音が次の調のドミナントという珍しい例、単純にその曲のイントロ明けのコード進行の開始の和音ということ。
思いついた世間の曲例"th07_06.mid"bar59 in /F♯m = A to Am = C/ [IV, V, !♯3! IV, V, vi (D, E, F, G, Am)]
; マイナーキーの例、繋げられる和音が転調後の同名マイナーコード。

また、「長和音(系の和音)だけの上昇進行」なので、聴いた感じだけ似ていても実際には条件から外れる例もあった。
曲例:
286bar1 in /Am/ [IΔadd9, II7, IIIΔ6, V7, i (Aadd9, B7, CΔ6, E7, Am)]
531bar1 in /Dm/ [I, II♭, V♭, V, i (D, E♭, A♭, A, Dm)]

また、「長和音(系の和音)だけの上昇進行」でさえない例もあった。
曲例:
th105_15任意の耳コピbar1 in /Em/ [ii, iii7, IVΔ6, VΔ6 (Am, Bm7, CΔ6, DΔ6)] (「次の和音」を省いた、後述で示す)
; 2021年5月9日、すでに多くの例を検証した段階でこれを調べた。この場合は、マイナー・サブドミナントとマイナー・ドミナントからのメジャー・サブドミナントとメジャー・ドミナントという形になる。そもそも今までのものが実はマイナー・サブドミナントとマイナー・ドミナントのメジャーIII度(長三度)使用のコードだったのでは?とまで感じてしまう。最後は二分休符で、次の開始は [IV, V, vi (C, D, Em)]。
175bar98 in /Am/ [i, II, III IV (Am, B, C, D)]
;具体的な和音の主音が A, B, C, D なので1つ上の例と同じだが、明らかにこちらはAマイナーのダイアトニックスケールおよびその五音音階を重んじているメロディを持っている。それは曲全体に言えるが、これと同じコード進行を持っているbar 106 からの24小節間のコード進行とメロディをいじるなどしてそこだけ別のスケールやキーにするなどしても、良いものにならなかった。なお、和音の長さは和音1個あたり2小節を占めることも1つ上の例と異なる。

後述の「同主調の和声型転調」に相当する話が英語版Wikipedia - "Modulation (music)"#Changes between parallel keys にあるが、そこに記された"borrowed chord"はこのコード進行の類型の1つを説明できるかもしれない。
そう思ってこの用語の同名記事の方を読むと、"modal mixture"などといった異称も表記され、教会旋法をはじめとした任意の同名の音階や旋法が本来の特定の音階や旋法と別のものを借用できることについての説明であり(つまりメジャーキー–長調の曲の途中で楽節全体であれ一部分であれ一時的に同名のマイナーキー–短調の音階にできる)、期待するものと異なる。

だいたいこの項目を書いた後に他者の情報を比較しようと2021年4月3日に見たページ
いちにの - 神前暁さんがつくる魅惑の「短3度転調」. 2014年9月6日. http://kaho-ss.blogspot.com/2014/09/3.html
bVII7を置いて転調します。
実際には、 IV / V → bVI / bVII → bIII という分数コードが使われることが多いです。

こう表記して説明する内容が、ここでの「IV-VトリプルシャープIV-V進行、またはIV-V短三度上げIV-V進行」に相当する。
と思ったが、「分数コード」云々という言い方は私の学習で見られず日本のポピュラー音楽理論の方に多い用語なので調べたが、カタカナ語で「オンコード (*on chord, on chords)」とも呼ばれ、日本語版Wikipediaに言及があっても他言語版に独立記事や言及が無い概念である。
あえて英語でいえば "figured bass" (wikidataで日本語は「数字付き低音」に対応), "bass inversion", "inverted chord" (転回された和音) となろう。
と思ったが、Google検索結果で英語版Wikipedia - "Slash chord" (スラッシュコード: 1 2) へのリンクが見られ、こちらの説明対象が対応するようである。
宗教でも音楽でも、用語を概念的に比較して対照する作業が、まだまだインターネット領域に不足しているので、私はこういうことも加筆する。
上の記述に関しては、この項目の比較に難しく、引用源のページで例示された曲例(■④ "HELLO!!" など?)に依存するので、ここでは疑問を残す。



このコード進行の雑学
半音下降ベースラインとともに、そのコード進行

このコード進行では、半音下降ベースライン [IV, III, !♯3! I, VII](または [IV, III, I♯♯♯, VII♯♯♯]) が利用可能である。
/C = Am (to E♭ = Cm)/における音名でいうと [F, E, D#, D](または [F, E, C♯♯♯, B♯♯♯]) となる。
2番めのみ、コード [V] がそのベースの音符 [III] と混ざることで [VΔ6](ピッチでは [iii7] と同じ構成音)、音名でいうと [GΔ6](ピッチでは [Em7] と同じ構成音) となる。
こういうベースラインは、人により、先述の「分数コード」([V/III] [G/E] とか?) で表記する方が望ましいと感じる。





次の章の前に、復習:和声型転調と強調型転調

転調の区分には色々あり、まず半音いくらであるか、といった音程次元における区分が一般的に言われる。
あまり言われない区分では、タイミングに関する時間次元がある。
それらとは別に、機能面での区分を、私は2020年7月29日の音楽説明(2020年9月14日公開)において説明した。

同一もしくは類似フレーズを繰り返す上での単純さを弱める機能があるn半音を上げるか下げるような転調を、私は、「強調型 (emphasis/emphasising/emphasizing modulation)」または「リフレイン型 (refrain/refraining modulation)」または「コーラス型 (chorus/choral modulation)」と呼ぶ。
これは、傾向として、ほとんどの曲例で、半音の移動数が1から3(短二度、長二度、短三度)になる。
同じく傾向の話をすると、ポピュラー音楽のファンの間でよく言われる「転調」は、この強調型を指す場合が多い。

任意の楽節中、もしくは異なる楽節の移り変わりとその具体的な位置(前の終止か次の開始部分か)がどこかを問わずにn半音を上げるか下げるような転調を、私は、「和声型 (harmony/harmonic modulation)」と呼ぶ。
こちらは多くの半音の移動数の種類がありうるが、単純なAm移調目的であれば6つ(三全音)までとし、転調の移動数が半音7つ以上である(ただしそのような曲例は現実的に0に近い)と言うと和声の正確な説明のためになる。
曲例により、「借用コード、借用和音 (borrowed chord; 旋法混合 modal/mode mixture とも)」(同主調 parallel key からのみを指す)とか「音階の借用」とかと理解できる場合、いわゆる転調と考えるには難しいものも私は含めている。

用語法として、この2つは、私の独創とも言える状態であるが、私の音楽説明では出現することになる。





同主調の和声型転調(同一フレーズ繰り返しでの短三度転調でなく)(転調時は休符で曖昧にされたり、そうでない場合も転調後にIV-iii反復進行であるなど曖昧にされたり)

曲例:
126bar25 154bar119 293bar36 446bar9 566bar29 622bar25☆ 640bar65☆ 717bar14☆ 720bar17 751bar14 769bar24 773bar33☆ 822bar25☆ 977bar84 988bar21 1011bar50☆ gdo21bar57
※同一フレーズ繰り返しでの短三度転調 e.g., 79bar33 105bar148 は含めない。これは型の区分でいうと「強調型」である。
※曲例761では、bar43から和声型転調があり、G♯mからBmに短三度上がっている。G♯mのパートでは、任意の楽節の最後にG♯sus4とG♯ピカルディの三度メジャーなどが使われるなどG♯の調性を示すようだが、メロディ主音はBの時もあればG♯の時もある。これを「同主調の和声型転調」として含めない。
※意図的に「東方原曲に多い短三度転調」が作者によって想定されている東方風の曲例539がある。bar16からbar19の間にそれが見られ、C♯mからEmに短三度上がっている。この曲のC♯m部分では [C♯m A B] というコード進行が取られるし、メロディの主音もC♯なので、C♯mをEメジャーとして同主調に理解することはできない。これも同主調の和声型転調として含めないことにした。「和声型転調」には相当する。この転調部分でも、まず休符が置かれている。東方風自作曲で、短調どうしの短三度移動「和声型転調」に曲例63bar29などがあり、短調どうしの短三度移動「強調型転調」に曲例79bar33 105bar148などがある。

上掲の曲例は、転調時は休符で曖昧にされたり、そうでない場合も転調後にIV-iii (e.g., F Em) 反復進行であるなど曖昧にされたりするものが、半分ほど見られる。
☆印の付いたものは、その曖昧化の例外である。

上掲の曲例はほとんど、長調で始まって同主調の短調に変わるものである。
短調で始まって同主調の長調になる例は293bar36 566bar29 717bar14など、まれである。
類比するならば、長調で始まって平行調の短調に変わるものが多くて、短調で始まって平行調の長調に変わるものが少ないことが考えられる。

ポピュラー音楽界隈の用語法はカタカナ語の割合が多いので、こういう言い方もする:パラレル転調、パラレルキーの転調、パラレルメジャーへの転調、パラレルマイナーへの転調。





三全音転調

曲例:
292bar35 406bar25 438bar11
202009100222bar43

「それなりにあるだろう」と事前に見積もったが、見当たった例はこの4点のみである。
他に3点ほど私が思ったものは、転調の音程が三全音ではなく短二度 (202103210208bar62) や長三度や完全四度であった。
「同主調の和声型転調」の曲例はいくらか、転調時は休符で曖昧にされる例であったが、この4点は転調時にそのまま繋いでいる。
上に挙げていない三全音の転調のように見える202102181529bar47は、その転調の前の小節が増三和音 (augmented triad) で始まって2回も下降して転調の直前に直前の和音と同じ根音での減三和音 (diminished triad) が鳴る形で、そこだけに調性が曖昧にされている。
他に202009100222bar39は、三全音の転調のように見えるが、前4小節のコード進行 [D♯m, G♯m, Cm, Bo] 3小節めに短三度低いマイナーコードを使用していて短三度下げ転調とも理解でき、そこから [Am] で始められるので、三全音の転調とも、そうでないとも言えるものである。

292bar35の和声を改めて解析すると、そのbar35での転調前の2小節が、F♯=D♯m調で [F♯, C♯] 度数 [I, V] とドミナント終止になっており、そこで転調した後の2小節がC=Am調で [F, G] 度数 [IV, V] とサビに相当するパートの前のワンクッションになる。
そこからのサビに相当するパートが [F, G, Em, Am] 度数 [IV, V, iii, vi] とよくある王道進行のそれである。
休符型でないとしてもワンクッション型(小挿入型)である。

上掲の例以外で議論を誘う曲例は822bar7である。
2 + 4小節の最初の楽節で、最初の3小節はAメジャーであるが、その後は1小節ごとに小刻みに転調する。
それらは C, B, E♭ の3つであり、私が"variant"とラベル付けする。
次の楽節は最初と三全音の音程であるE♭メジャー(直前の小節から継承?)で始まり、全体的にE♭メジャーと同主調の短調D♯マイナーが占める(最後はまたAメジャーに戻る)。
三全音であるAメジャー楽節と次のE♭メジャー楽節との間に、"variant"の調が3つもあると分かる。
これに関して「ワンクッション型(小挿入型)」と見るか、これらも具体的な和声型転調として扱うべきか、で迷い、ここでは「音程が三全音の和声型転調」の例に加えていない。


他に、転調ではないが、全体がAマイナーの調である曲例724は、bar18からのコード進行に三全音の音程で主音が移動する部分があることも示したい。
具体的には、以下の進行の1小節めと2小節めが、それに当たる:
724bar18 in /Am/ [i7, IV♯7, iv VI7, V7 (Am7, D♯7, Dm F7, E7)]
全体がCメジャーの調であって並行調のAマイナーのパートを持つ曲例725は、bar51からのコード進行に同名異音で見た場合は三全音の音程で主音が移動する部分があることも示したい。
具体的には、以下の進行の1小節めと2小節めが、それに当たる:
725bar51 in /Am/ [im6, II, III, I7 iii♯- (Amm6=FΔ7, B, C, A7 C♯o)]
; 曲全体は長調なのでこうとも表記できる:[vim6, VII, I, VI7 i♯o]

※記事公開日よりずっと後に気づいたが、274bar54も、三全音の転調をしている。C♯マイナーで始まり、Gマイナーへ転調するが、そこでは終止の和音が全音符ほどの長さで鳴らされるため、間が空いている。この件を、本文に挿入せず、追記の形で報告する。








当記事の起草日は2021年2月中か、2021年1月8日の特定記事の起草日と同じ(内容自体はそれ以前からPCで骨組みになるメモがあることに由来する)であろう。

終止の次のコード–和音、小節、またはメロディの頭である主音のような音高を指す言葉は無いか?
2021年4月1日に疑問があったが、2021年4月4日に調べても、見当たらなかった。
"next of a cadence", "next of a cadence", "following * (任意の単語が入る演算子での代理表現) of a cadence", "following * of the cadence"で検索してGoogle先生とやらが答えてくれることは、無い。

「ABCDE進行」に代表される、1番めの題材は、「終止と開始」の二重性を思わせ、開始であるEこそ終止として、曲のフィナーレとして用いることもできてしまい、その調がC♯マイナーなのかEメジャーなのかEマイナーなのかGメジャーなのか、その進行単体で分からないようにさせている。
音楽には、その進行と相関性の高い「IV–V–vi進行」、「IV–V–I進行」および「王道進行」類に見られる「長調と短調」の二重性(IVはマイナースケール主音もメジャースケール主音もその構成音に包含し、更にΔ7がメジャースケールでのIIIであるなどメロディの主音で一般的なI, III, V, VIのうち3つを持つためにメロディ主音がどれになるか予測させづらい)など、かなり多くの二重性を私は見出す。
ちなみに、今年1月18日に在オーストラリア華僑の人が英語版Wikipediaで王道進行についての記事を作成していたようなので、参考までにご覧になってほしい。
enwiki: IV△7–V7–iii7–vi progression

終止 (cadence) といえば、ピカルディの三度(ピカルディの3度、ピカルディのIII度 Picardy third)を連想する人も多かろう。
2021年4月6日、ピカルディの三度を文字通り表した、「短調–マイナーキーの主音–トニックでの長和音–メジャーコード」が楽節の冒頭(開始の和音、マイナーキーの主音で同名のメジャーコードを鳴らす)に用いられる曲例を見て「以前もこういうものを見たが、一般にピカルディは終止のために言うもので、日英Wikipediaから任意の紙の百科事典までそう言及している。実際に楽節の冒頭に用いられる曲例からその現象には、何も名称が無いか?」と疑問を覚えた。
なので、現時点で見当たった曲例のみ、書きだす:
230bar1 604bar1 831bar81 869bar1, パワーコードにメロディ構成音で間接的に鳴らす例: 73bar51 244bar15 717bar98; 小楽節冒頭での例 531bar9 1001bar45;

「開始ピカルディ三度」は、マイナーコードで始めたくない人のためによいかもしれないが、私はピカルディ3度にピカルディIII度なりの特質がある点で、慎重に用いる必要を感じる。
「開始ピカルディの三度」、「ピカルディ開始」と新語で呼ばずに、既述の「借用コード、借用和音、旋法混合」もしくは楽節中の和声型転調(短三度上げ !♯3! の調)の方で理解する方法もある。
楽節中の和声型転調の方法では、[E, E, C, D] という「開始ピカルディ三度」の調 /Em/ と疑われる曲例604bar1に対して、調を /E to Em/ とみなして音度を [I, I, !♯3! IV, V] と解釈する。
「開始ピカルディ三度」を嫌う場合、[E, E, C, D] に対して、調を /E/ とみなして音度を [I, I, ♭VI. ♭VII] と解釈する。
一般的に、楽節の冒頭で「借用コード」を使うようなことはありえないか、既存の音楽理論の破綻になるので、どうあっても開始ピカルディ三度を許さない見方がされることになる。


2021年5月2日日曜日

構成音半音移動進行の諸相 (chromatic descending/ascending bassline/progression)

任意の和音–コードの構成音が、次に連なるコードとの進行においてピアノロール上での下降/下行が見られる進行は多い。
[i VII VI] (e.g., Am G F) はコードの主音が全音ずつ下がり、次が [v] や [V7] (属七和音 dominant seventh) である場合もダイアトニックな下がり方として見られる。
それらは主音の度数 (degree) や音名 (note/pitch name) がそのまま下降している例である。
当記事では、主音の度数や音名が下降するとは限らない構成音の半音ずつ下降する進行を例示する。
また、稀ではあるが、上昇する進行をも例示する。

以下から、度数表記と、調がAm = C (イ短調=ハ長調) であるときの音名とで説明を行う。
[i V v IV iv i II V (Am E Em D Dm Am B E)] という基盤として8つの和音で構成されるコード進行があるとすれば、そのうちの構成音が半音ずつ下に移動(下降、下行)しており、これを「半音移動進行」の一類型と見ることができる。
ベースライン (bassline) として抽出して: [I VII# VII VI# VI V IV V (A, G#, G, F#, F, E, D#, E)] となる。
そのコード進行のうち、6番目をIII (C), 7番目をIII- (Cdim) とするなどでも、同様に半音ずつ下降する状態が保たれる。
2020年1月以前に私は、このようなコード進行の名称とその具体例を求めていた。

東方原曲 (東方Projectのゲーム作品群におけるBGM) にも、基盤として8つの和音で構成されるコード進行として、構成音が半音ずつ下降する例がある。
th15_13-29小節 [i III+ VII IV VI VII i],
th16_13-25小節 [i III+ III IV VI i vii#- IV],
th17_13-25小節 [i III+ III ii VI V ii V] (th17_12も).
2015年8月に正式版のある「東方紺珠伝」以降で作者ZUN氏が弾幕STG作品の6面(最終ステージ)とそのボスのテーマソングに用いるようになったようである。
それ以前では6面で使われず、th11_05(2面ボス)など、ごく僅かである。
これらは、東方ファンの界隈で「下降クリシェ進行」というように呼ばれる。
例:https://twitter.com/boga0817/status/925391412333441025 (「亡我の東方的音楽理論備忘録」) 上記URLのツイートに載る動画の1曲め (不明、類例はth08_15) は後述する「ライン・クリシェ」のストレートな例と見られる。
2曲め (不明) と3曲め (th11_05) は「下降クリシェ進行」と東方ファンの界隈で呼ばれるものに当たる。

なお、音楽学で基本的に、クリシェは少し印象が異なる。
単一のコードの一構成音が下降または上昇(下行、上行)のクリシェ対象になり、他の構成音に変化は無いことが指される。
音程(インターバル interval)は半音に限らず、全音についても含まれるので、「半音下降クリシェ」などと接頭語が用いられたりする。
"line cliché" (ライン・クリシェ) と呼ばれるものはギターやピアノの「演奏」の側面に強く関わっている。
他の参考:
https://sakkyoku.info/theory/cliche-01/
https://sakkyoku.info/theory/cliche-02/



当記事では、以上の調査結果ある経緯を踏まえ、半音移動進行を私の把握する楽曲から例示する。
全てをすばやく理解する必要は無いので、少しずつシーケンサーに打ち込むなり、楽器で演奏してみるなり、試してどのようなものか、確認されたい。

・移動の起点である音符–ノートを1として数え、そこから1回の移動をカウントして2を数える。一方向のみの移動が数える対象になる。私のDAW環境でのピアノロールには、そう数えたくなる音楽ノート表示がされるので、慣習的に私はそうカウントしてきた。
・度数/音度表記は、英語版Wikipedia - Roman numeral analysis, および Chord letters (or chord name/names) を参考にした。+ (プラス) は augmented, aug コードであるなど、合わせた。 ・度数に用いるローマ数字は、小文字 i と大文字 I (英語カナ:アイ) のように、一般的なローマ字(ラテン文字)であり、Ⅰ U+2160ではない。ピアノの白鍵をダイアトニック・スケールであるAm = C (イ短調=ハ長調) として:i は A minor triad chord (イの短三和音)、I は C major triad chord (ハの長三和音)となる。世間では、ローマ数字の大小を設けずにメジャーに M, マイナーに m (英語カナ:エム) を付ける場合が多いので、その点は少し独特だが、それ以外の記号の用法は、上掲リンク先を参照。 ・文字コードに関する問題のある環境(私の使用する特定のソフトウェアを含む)を考慮して:"ø is used for half-diminished"と私が用いたかった文字 U+00F8(ノルウェー語の母音字やIPAの記号の一つ;⌀ は直径、∅ は空集合)は、ギリシャ文字「ファイ(フィ、古代ギリシャ語で有気音ペー)」小文字 φ U+03C6とした。なお、Δ U+0394はギリシャ文字「デルタ」大文字であり、三角記号 △ U+25B3ではない。
・任意の和音–コードの根音に対する六度 (VI度) の音が付加されている (add6? added sixth) と見られる部分では、表記として短六度 (minor sixth) のために m6, 長六度のために Δ6 (major sixth) を採用した。七和音のうちで長七和音は [IΔ7], 属七和音は [I7], 短七和音は [i7] とする。理論上考えられるが使われないコード「短三和音に長七度を加えた和音」は [iΔ7] とする。
・同じ小節のうちに他のコードが、その順序で用いられていることを表すというために、スラッシュ / を使う案があったが、これは分数コードやスラッシュコード (slash chord) と呼ばれるものに使われるようなので、やめる。カッコ内を小節のためにコンマで区切り、半角空白–半角スペースで同じ小節のうちのコードを分けることにした。同じ小節のうちで占める長さに関してはここで表さない。[Vsus4 V] という例からは、sus4解決 (resolution of a suspended fourth) の終止 (cadence) が同じ小節で行われていると理解する。
・フラットやシャープなどの増減記号(調号、臨時記号)を、ハッシュまたはナンバー記号 (hash or number sign) # U+0023 をシャープのために用いた。正しくは ♯ (U+266F) である。フラットは ♭ (U+266D) でよいが、世間の一部では b (Bの小文字) を代用する場合が有る。
・フラットやシャープなどの増減記号を、度数では前にする慣行がある。♭V度 (bV), ♯IV度 (#IV) などとするし、和名の減五度(減5度)、増四度(増4度)はその直訳名称に思える。五線譜で増と減の記号を音符に対して左に記すことから来ているようだが、CからBの音名では後に記すという人が度数に対してそうする積極的理由を言うことは無い。私は度数の後に増と減の記号を記す。

7半音下降、識別番号686から抄出される短調での進行

7半音下降、識別番号20から抄出される短調での進行。
[i, V. vo, IV, ivo, III, II, V]
7半音下降、識別番号207から抄出される短調での進行。
[i, V, v, IV, iv, III, II, V]
7半音下降、識別番号437から抄出される短調での進行。
[i, V, v, IV, iv, III, iii-, V]
4半音下降、識別番号468から抄出される長調での進行。
[I, V, VI#, IV, I, V, vi, IV]
4半音下降、識別番号507から抄出される長調での進行。
[I, iii, iiio, ii, IV V, iii vi, IV, V]
7半音下降、識別番号635から抄出される長調での進行A。
[I, iii7, iiio, vi7, iv7, I, II7, Vsus4 V]
7半音下降、識別番号635から抄出される長調での進行B。
[IΔ6, iv7, I, II7, IV, III7 vi, IV, V# VI#]
6半音下降、識別番号640から抄出される短調での進行。
[i, V, vo, iv, i♭o7, III, VI, V7, VIΔ7, III V7]
; 曲全体は長調なのでこうとも表記できる:[vi, III, iiio, ii, vi♭o7, I, IV, III7, IVΔ7, I III7]
7半音下降、識別番号675から抄出される短調での進行。
[i, III+, III, IV, iv, III, II, VI]
7半音下降、識別番号686から抄出される短調での進行。
[i, V, VII, IV, iv, III, II7, V]
7半音下降、識別番号713から抄出される長調での進行(識別番号288も同じ) 。
[I, V, v, IV, iv, I, II, V]
5半音下降、識別番号725から抄出される短調での進行。
[im6, vii#Δ6, viiΔ6, I7, IVø, iv7, ivφ ivo7, IIIΔ, iii#o7 iv v]
; 曲全体は長調なのでこうとも表記できる: [vim6, v#Δ6, vΔ6, VI7, IIø, ii7, iiφ iio7, IΔ, i#o7 ii iii]
; 非標準的な数え方では、最大で8半音下降を持つ。
5半音下降、識別番号765から抄出される短調での進行。
[i, V, v7, ii, VI, IIIsus4, VII7, III]
; 曲全体は長調なのでこうとも表記できる:[vi, III, iii7, VII, IV, Isus4 V7, I]
7半音下降、識別番号820から抄出される長調での進行。
[I, Vadd4, I7, IV, iv, I, ii, Vsus4 V]
6半音下降、識別番号921から抄出される短調での進行。
[i, V, VI, ii, iv, v, ii, IV]
7半音下降、識別番号957から抄出される長調での進行。
[I, vii, VI#, vi, V#, v, iv#, V]
4半音下降、識別番号1013から抄出される長調での進行。
[I, iii, iii-, vi, IV, I, ii, V]
3.5半音下降、識別番号1016から抄出される長調での進行。
[Isus2=Vsus4, V7, v7, IV V]
; 3半音下降ライン・クリシェにも当たる。前3つの組が残り2つの組よりも1つあたりが2倍の長さであること(2 + 2 + 2 + 1 + 1 = 8小節相当)は、数字の扱いに難しさを覚える。ここでは半音移動数を小数にした。後掲の855では数字の扱いが異なる。

6半音上昇、識別番号329から抄出される長調での進行。
[I, IV, II, V, III, vi, II, V]
6半音上昇、識別番号264から抄出される短調での進行。
[i, iv, IV, v, V, i, IV, V]
4半音上昇、「メジャー上昇ライン・クリシェ進行.mid」で示される長調での進行。
[I, ii, vii, iii] ([I, ii, vii, iii6]とも、終止形は[I, ii, vii, iii V])

5半音下降ライン・クリシェ、「短調カノン進行と下降ライン・クリシェと下降クリシェ進行.mid」で示される短調での進行。
[i, VII#+, III, IV, VI, vi#o, vii, vii#o V7]
; ライン・クリシェでないクリシェとしては8つに及ぶ。3半音下降ライン・クリシェと2半音下降と3半音上昇で構成される。
4半音下降ライン・クリシェ、識別番号11から抄出される短調での進行。
[i, VII#+, III, iv7, VI, v7, VI7, VIIsus4 VII]
; 曲全体は長調なのでこうとも表記できる: [vi, V#+, I, ii7, IV, iii7, IV7, Vsus4 V]
; ライン・クリシェでない半音下降としては6つに及ぶ。
4半音下降ライン・クリシェ、識別番号73から抄出される長調での進行。
[I, IΔ7, I7, IΔ6=vi7]
; 曲全体は短調なのでこうとも表記できる: [III, IIIΔ7, III7, IIIΔ6=i7]
4半音下降ライン・クリシェ、識別番号421から抄出される長調での進行(冒頭4小節)。
[Iadd9, iii7, iiiφ, VI7 x iisus4, ii, I#+, Vsus4 iiφ, V x viiφ]
; 後半4つは2半音下降ライン・クリシェと2半音下降を持ち、同時に4半音下降を持つ。
2半音下降ライン・クリシェに似た何か(ダイアトニック版?)、識別番号658から抄出される長調での進行。
[I, IΔ7, IΔ6, I, IV, IVΔ7, IVΔ6, V]
; ダイアトニックまたは全音ライン・クリシェとする場合、4 + 3下降ライン・クリシェを持つと見られる。
4半音下降ライン・クリシェ、識別番号855から抄出される長調での進行。
[I, iii, iiio, IV IV7, iv7 ivφ, iii7 i, ii7, V viio]
; ライン・クリシェでない半音下降としては6つに及ぶ。3下降ライン・クリシェと3半音下降で構成される。他にも2分音符で4半音下降を持つ部分が2つある。

動画で確認できる例

"Dominus Immensus"の「歌詞が後で与えられた音楽部門」でも、以下のように、半音下降がある。
MIDIシーケンサー"Domino"でのピアノロールではなく演奏モニタ表示がされている。

Aメロ相当の部分で以下のように、3半音下降、短調での進行がある。
[i, V7, VII, IVsus4 IV v, VI, III, II7, V]
; 4番目の小節のIVsus4 IV v部分をIVのみにすれば7半音下降を持つ。

Bメロ相当の部分で以下のように、6半音下降、長調での進行がある。
[I, V, VI#, IV, V#, II#sus4 II#, II7, III7]
; 曲全体は短調なのでこうとも表記できる: [III, VII, I#, VI, VII#, IV#sus4 IV#, IV7, V7]
; 非標準的な数え方では、7半音下降を持つ。
; Aeolian mode や natural minor scale の目線を持つ人は [I, V, VIIb(bVII, ♭VII), IV, VIb(bVI, ♭VI), IIIbsus4(bIIIsus4, ♭IIIsus4) IIIb(bIIIsus4, ♭III), II7, III7] といった具合に表記するであろう。




英語説明案、2020-06-28起草 An explanation in draft in English, writed since 28 June 2020

A Criticism for Musicology and "Gerpan" the New Chord Progression claimed

The chord progression is called "descending cliché progression" (下降クリシェ進行 kakō-kurishe-shinkō) among Japanese-speaking Touhou fandom/fans.
The video plays the progression in A minor.
One pitch in included chords is descending in semitone/half-tone per 1 bar/measure:
A (tonic), G#, G, F#, F, E, E♭, E (the final pitch is only ascending/going up)
So it is called "cliché" (the article "クリシェ" Kurishe in Japanese Wikipedia describes also in whole tone, not only semitone), correctly what? "pseudocliché" (pseudo-cliché)?
An English term "line cliché" (ライン・クリシェ) suggests other skill (e.g. playing guitar and piano), this is not; but this is right for an original idea.
"Descending in semitone per 1 bar" as in one typical example:
Am E Em D Dm Am B E
A Roman numeral analysis for the progression can be given:
i V v IV iv i II V (or vi III iii II ii vi VII III in major tonic key)
It has a minor difference like as the sixth–seventh chords are III (I = C)–iiio (io = Cdim).

Other typical example:
Am E G D F Em B E, Roman: i V VII IV VI v II V (or vi III V II IV iii VII III in major tonic key)

ZUN, the founder of Touhou/Toho Project is using "descending (semitone) cliché" function, but it is limited in 4–6 chords from the beggining:
th15_13 bar 29 i III+ VII IV VI VII i
th16_13 bar 25 i III+ III IV VI i vii#- IV
th17_13 bar 25 i III+ III ii VI V ii V

* III+ (augmented triad) はi = Am の時に G#aug, Eaug, CaugのいずれでもあるうちのG#aug V#+ で表記されやすい。

Misfortunatelly, the progression is not analyzed/researched in English-speaking musicology yet/never.
I have a view that most of the progression is used in Japan for video game music (ゲーム音楽) and songs/soundtracks of music video game (音ゲー音楽).
I do not know the progression was used (or it appeared by chance/accidentally) in Western classical music.
Japanese-speaking video game fans say "エモい", "ドイツっぽい" for the progression.
"ドイツ" (Doitsu) means Deutschland (Deutsch/Deutsche), in English is Germany (or German language, culture or music).
I can call the progression "descending pseudocliché progression" or "Gerpan progression" (Gerpan is a portmanteau word, made of German/Germany + Japan; also Jarmany/Jarman).
There are alternatives/alterations/variations:
@ここにコード例の列挙。動画で紹介するもの限り?動画投稿を前提にするのやめる?

There are versions in major key which have "descending (semitone) cliché" function, those can be called "(Pachelbel's) Canon-cliché progression":
@ここにコード例の列挙。動画で紹介するもの限り?動画投稿を前提にするのやめる?
Three songs (No. 635, 713 and 957) have the setting that a rainbow can be seen (by a synaesthesia), or something far/faraway/fantastic; so I can call the progression "rainbow-show progression" or "far fantastic progression".
It is self-explanatory: extraordinary, unrealistic, supernatural; though it is not overall.

The intro of Soviet (Russian) song "Katyusha" (composed by a Soviet Jewish man) has a similar chord progression, which is using "descending (semitone) cliché" function limited in 6 chords from the beggining:
Am E Gm D Dm Am E Am, Roman: i V vii IV iv i V i (or vi III v II ii vi III vi)

A few days ago, I am aware ah...
It means chromatic line, have descending or ascending, and chromaticism.
Okay, I see. It is a type of "descending chromatic line progression".

Criticism for English Musicology:
The name "Musicology" is not correct to Latin and Greek etymology (intuitive and pragmatic for common people, not intellectual).
Musicologists did not research for who calls "line cliché" never.
Musicologists did not create website which hosts "open-chord music" (like open-source software) system. (just kidding!)
How do you think the present and future of popular music?



以上の「英語説明案」はボツ案文章。



KAJA (Masahiro Kajihara, 梶原正裕) 氏によれば、80年代や90年代と見られるPCゲームにも、ここでいうようなコード進行である「半音下降進行」が使われてきたようである。


また、私的な体験であるが、2020年11月に私がポケモンのルビー・サファイア・エメラルド (RSE) のプレイを振り返ると、ルネシティのテーマBGMの9小節め以降(調はB minor)は「半音下降進行(短調での7半音下降を持つ)」と確認された。
そのゲームは10歳未満の時に私がプレイしてもいたので、当時にさえ聴いていたことは、意外であった。
こちらの理解で、こういうコード進行と推定される: [i, VII#+, VII, IV, IV-, III, i-, III VII]



呼称に関する注意点
[i V v IV iv i II V (Am E Em D Dm Am B E)] というコード進行を持つ曲に私は長年、興味があったので、そのコード進行について「(パッヘルベルの)カノン進行」と似た響きで短調–マイナースケールなので「短調カノン進行」と便宜的に呼んだことが最初である。
東方原曲にも類例があることで東方界隈を調べ、その呼称を受けて「下降クリシェ進行」と呼んだりしたが、更に長調–メジャースケールの例も多いと知り、「構成音半音移動進行」と総称して「メジャー半音下降進行」や「マイナー半音下降進行」と私の方で呼ぶことに至った。
上昇の例ももちろん、少しだけ例示されているので、総称が「構成音半音移動進行」とならざるを得ず、[i V v IV iv i II V (Am E Em D Dm Am B E)] のような典型的に構成音半音下降と感じられる例は「下降クリシェ進行」などの通称が伴う、と今で私は位置づけている。
通称としても「短調カノン進行」が容れられないと私が思う理由は、「(パッヘルベルの)カノン進行」が音程としての全音=長2度と半音=短2度とを伴った「ダイアトニック (diatonic)」の下降を伴うものであり、全てが半音であるものは「クロマティック (chromatic クロマチック)」に他ならないからである。
この2つの概念は、和声学、和声理論の対立要素の代表格であるし、含まれる和音–コード全般もダイアトニックなものしか、「(パッヘルベルの)カノン進行」は採用していない。
一般にいう「カノン進行」は「パッヘルベルのカノン」から抽出された長調でのコード進行であり、典型的に以下である:
[I V vi iii IV I IV V (C G Am Em F C F G)]
;この時、全音もといダイアトニック下降ベースライン: [I, VII, VI, V, IV, III, IV, V (C, B, A, G, F, E, F, G)] を伴う。

「短調カノン進行」の反証では、実際にダイアトニックな下降を伴う8つの和音を含んだコード進行からもできる。
典型的に以下である:
[i, v, VI, III, iv, III, iv, v (Am, Em, F, C, Dm, C, Dm, Em)]
;この時、全音もといダイアトニック下降ベースライン: [I, VII, VI, V, IV, III, IV, V (C, B, A, G, F, E, F, G)] を伴う、という条件を満たす。
識別番号941から抄出される短調での進行を示す:
[i, ,vii#-, VI, v, iv, III, ii-, iv]
識別番号560から抄出される短調での進行を示す:
[i, v, VI, III, iv, v, VI, VII]
これらが同じ条件を満たした「短調カノン進行」とその変形(亜型)になると見られる。
560の楽曲は、実際に再生すると、それが短調であるのに長調のカノン進行と何も変わらないように錯覚するほど、積極的なカノン進行らしい響きがある。



Glossary
長調クリシェ; line cliché in major key.
短調クリシェ; line cliché in minor key.
下降-, 下行-; descending.
上昇-, 上行-; ascending.
全音, 長二度; whole tone, major second.
半音, 短二度; semitone, semi-tone, minor second.
cf., hemitonic, anhemitonic scale.
ダイアトニック; diatonic.
ダイアトニック・スケール, 全音階; diatonic scale.
クロマティック, クロマチック; chromatic, adv. chromatically.
クロマティック・スケール, 半音階; chromatic scale.
cf., chromaticism, hemitonic.
A "chromatic descending bassline" in "Stairway to Heaven" by Led Zeppelin, the English Wikipedia says (2020年11月26日にたまたまドビュッシーの1曲のカバーMIDIをBitMidiというサイトでダウンロードすると、"Stairway to Heaven"の曲のカバーMIDI"73561_08.mid.mid"(拡張子の重複)が関連ファイルに出てきた;この曲は冒頭からその半音下降ベースラインがあるが、何かがペンタトニック pentatonic であるとWikibooks -  "Guitar/Scales". oldid=3454107. に記されている;当該ファイルでの84–92小節や101–109小節のボーカル代用楽器のメロディがそれっぽいがギターの教科書ページにボーカルメロディの話をするか?).

↑"Glossary"に無関係の括弧注釈で込み入ったが、下降ライン・クリシェがたまたまドビュッシーの1曲のカバーMIDI"debussy-clair-de-lune.mid" (原曲: Suite bergamasque 3. "Clair de Lune" by Claude Debussy) に見られることを報告しよう。当該ファイルの38–39小節(8分の9拍子)にアルペジオでコードを鳴らしながら、低いノートがベースラインのように下降している。[Im6 ivadd9 ivΔ7 iv7 ivφ V# VI# iv7 V#Δ7] 変ニ長調。下降の音程としては全音と半音とが見られるが、半音だけを抽出しても4下降ライン・クリシェである。






起草日:2021年1月8日
2020年1月21日から本格的に調査を始め、2020年6月28日に「英語説明案」英文レポートを起草したが、その後も色々な説明や事実が判明し、当記事では当記事でのまとめ方となった。
2021年2月まで数ある半音移動の中でも半音下降のみを「クリシェ」と単位のように呼ぶ慣行が私にあったが、それをやめてこの記事の文も原案から書き直した。
2021年3月1日、相変わらず音楽記事に頻出する東方Projectの話題だが、新作発表を私は見た。
18作目「東方虹龍洞」でも6面あたりで構成音半音下降進行が見られるか、注目する。
→無いと思います。



2021年3月3日になってth11_05「緑眼のジェラシー」について右記のページ https://w.atwiki.jp/tohomusicdb/pages/152.html を見ていると、『イーグルスの「ホテルカリフォルニア」にAメロのコード進行が出てくる』というコメントが見られた。
以下のようにその進行が6半音下降(その後1回ずつ上がって下がる)を持つという共通点を持つと分かるが、和音の音度としては少し異なっていた。

「緑眼のジェラシー」は冒頭から、以下のように、6半音下降、短調での進行がある。
[i, V, VII, vii, VI, i, iv, V (Em, B, D, F♯m, C, Em, Am, B)], in E minor = G major; ホ短調=ト長調
The Eagles の "Hotel California"は冒頭から、以下のように、6半音下降、短調での進行がある。
[i, V7, VII, IV, VI, III, iv, V7 (Bm, F♯7, A, E, G, D, Em, F♯7)], in B minor = D major; ロ短調=ニ長調

説明に対応する2曲の実際のピアノロール

前者は2008年5月25日にリリースされた東方地霊殿の体験版が最初の発表であり、後者は1977年2月22日にリリースされたアルバム Hotel Californiaに収録される。
いわゆる「下降クリシェ進行」=構成音半音移動進行または半音下降ベースラインの最古の例は何か? 当記事の本文で示した中では、Led Zeppelin の1971年11月8日にリリースされたアルバム(無名4作め、通称 IV)に収録された"Stairway to Heaven"である。
「英語説明案」では、ロシア、ソビエト連邦の「カチューシャ (Катюша)」イントロ部分(1938年初演の時からあるか不明)を挙げており、これは6半音下降のコード進行である。
[i V vii IV iv i V i (Am E Gm D Dm Am E Am)]
東方Projectの中で半音下降ベースラインの最古の例は、東方夢時空(体験版と製品版どちらも1997年)のTh03_04 "Reincarnation" (5小節め、6半音下降、D♯m短調での進行)であろう。
これらは耳コピでも和声の確認をできるが、"Stairway to Heaven"に私がしたように、第三者によるMIDIファイルや楽譜などを探して参照するなどでもよい。

こういった調査は音楽作品を無機質に研究対象とするコーパス音楽学(MIDIファイルや譜面への批判研究も含まれそう)、比較和声学と呼ばれそうである。
ある程度、疑問を解決したいので、私はこの調査を続けて一定の結論を持った。
当記事の本文でそれを示したつもりではあるが、個人的に満足しきれないので、こうして調査を続ける。
それは、「構成音半音移動進行という総称を与えたいコード進行の一群があり、個別には世間での通称もある」ということである。
結果的な曲例というかコード進行の例を示した中で、どうしても私の管理する多くの楽曲の中では「短調で同名の短和音の主音からの半音下降進行」が多くなった。
世間の著名な曲にして"Stairway to Heaven", "Hotel California", 複数の東方原曲は、この現象を代表している。
「長調で同名の長和音の主音からの半音下降進行」もそこそこあったわけであるが、それを有する曲例635には奇異な特徴の部分も見られた。
「長調で同名の長和音の長六度を加えてそこからの半音下降進行」というものであり、本文での635進行Bとして示した。



半音下降ベースラインとともにその構成音を持たないコード進行

ちょっと次回予告のようなことを記す。
次回記事のタイトルは、『IV-VトリプルシャープIV-V進行、同主調の和声型転調、三全音転調』と予定される。
https://lesbophilia.blogspot.com/2021/04/harmony-variable.html
その中の「IV-VトリプルシャープIV-V進行またはIV-V短三度上げIV-V進行;で何らかの次の和音」という節で、半音下降ベースライン [F, E, D♯, D], in Am = C (当該記事ではもっと正確で詳細な表記もする) を例示するので、期待されたい。


2021年5月1日土曜日

2021年4月中の日記メモ

(前月に続き)本文をコメントアウトで公開します。ソースからご覧ください。ご不便をおかけします。

●口上
日記メモにはその便宜のために定型的な表現と語句を含んでいるが、それらは広く「日記メモの用語と解説」ページに説明がされている。

●私感
n

メモ記入日の一覧 (日付をクリックして移動)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30