今回から転調のための記号を ! (半角の感嘆符) でくくり、上昇を示す場合は♯(シャープ U+266F)とその音程の半音の数に等しい数 (e.g., !♯2!で長2度上げ) をいれ、下降を示す場合は♭(フラット U+266D)にその音程の半音の数に等しい数 (e.g., !♭4!で長4度下げ) をいれる。
キーと調、スケールと音階のようにところどころ、同じ指示対象に違う言葉を用いているので、そこは注意してほしい。
IV–VトリプルシャープIV–V進行、またはIV–V短三度上げIV–V進行;で何らかの次の和音
キーC = Amでは [F, G, F♯♯♯=G♯(or A♭), G♯♯♯=A♯(or B♭)] となり、そのまま何らかの和音に繋げる。
トリプルシャープと理解する場合、ナチュラルとしての次の和音は [C] または [Am] になる。
短三度上げ転調と理解する場合、そのまま続く次の和音は [D♯=E♭] または [Cm] になる。
これらは「[M](任意のメジャーコード) または [m](任意のマイナーコード)」として挙げられたが、マイナーコードの方はそのピカルディの三度(マイナー主音の和音で長三度とすること)を用いる和音でも可能である。
見出しの名前に関しては、「トリプルシャープIV-V終止」や「短三度上げIV-V終止」とも言えるが、これに関する問題点については記事末尾に記す。
曲例:
76bar73 in /C to E♭/ [IVΔ6, VΔ6, !♯3! IV, V, VI (FΔ6, GΔ6, A♭, B♭, C)]
236bar148 in /D♯m/ [VI, VII, VI♯♯♯, VII♯♯♯, i (B, C♯, D, E, D♯m)] (メジャーキーで度数表記すれば [IV, V, IV♯♯♯, V♯♯♯, vi])
411bar117 in /D to F/ [IV, V, !♯3! IV, V, IV (G, A, A♯, C, A♯)]
717bar82 in /E♭/ [IV V, IV♯♯♯ V♯♯♯, IV (A♭ B♭, B D♭, A♭)]
; この部分が属するパートの主要な8 + 6小節1楽節のうちに属さず、次の反復する楽節の前に挿入された2小節である。1小節の半分に2つの和音があると見立てられるるので、コンマを減らしてある。この部分が属するパートは、開始がIV-V-I進行 (A♭, B♭, E♭) であり、繋げられた和音 [IV] はその先頭に当たる。このパートの最後や、類似のパートの最後=終止は [IV, IV♯♯♯ V♯♯♯ (A♭, B D♭)] である。
202102141213bar112 in /C♯m = E/ [IV, V, IV♯♯♯, V♯♯♯, VI (A, B, C, D, E)]
; C♯mの曲だが終止の次のコードだけEメジャーコード=ホ長三和音、トリプルシャープではなく短三度上げ = Em 転調の後にマイナー主音Eピカルディの三度メジャーコードとも理解できる。
参考動画、『ABCDE進行 in E vs. ABCDG進行 in E to G (ABCD終止 cadence)』
4小節構成のコード進行のドミナント終止の後に2小節のつなぎとして同じ音高の和音を用いる方法も見られた。
曲例:
689bar97 in /E = C♯m/ [vi, IV, V, V, IV♯♯♯, V♯♯♯, I (C♯m, A, B, B, C, D, E)] (マイナーキーで度数表記すれば [i, VI, VII, VII, VI♯♯♯, VII♯♯♯, VI])
;Bを2小節分として見て2回記した。
サブドミナント部分が延び、またはドミナント相当をドミナント部分が無い状態から同じ音高の和音を用いる方法も見られた。
曲例:
717bar14 in /E♭/ [I5 V5, IV5, IV♯♯♯ V♯♯♯, I5 (E♭5, B♭5, A♭5, B5 D♭5, E♭5)]
; あえて原曲通りのパワーコード表記にする。717の別の楽節を示した際の注釈で少し触れた、その内容である。
717bar37 in /E♭ to D♯m/ [IVΔ6, V7, I, iii7sus4 ii5Δ6, IV, !♯3! IV V, i (A♭Δ6, B♭7, E♭, G7sus4 F5Δ6, A♭, B D♭, D♯m)]
; 717bar82を示した際の注釈で少し触れた、その内容である。
797bar63 in /E/ [I, iii, IV, IV♯♯♯ V♯♯♯, I (E, G♯m, A, C D, E)]
8小節構成のコード進行の終止として同じ音高の和音が使われるが、トリプルシャープIV–Vとも短三度上げIV–Vともつかない位置づけ [V♯ VI♯] の例もあった。
曲例:
318bar76 in /E♭/ [I, I, iii, III, vi, vi, I, I, IV, iv, iii, vi, IV, V♯ VI♯, I (E♭, E♭, Gm, G, Cm, Cm, E♭, E♭, A♭, A♭m, Gm, Cm, A♭, C♭, D♭. E♭)]
635bar41 in /D♭/ [IΔ6, iv7, I, II7, IV, III7 vi, IV, V♯ VI♯ (D♭Δ6, G♭m7, D♭, E♭7, G♭, F7 B♭m, G♭, A B)] (上掲の前回記事にも載る)
例外の曲例:
784bar189 in /Bm to Dm to Fm/ [IV, V, !♯3! IV, V, !♯3! IV, V, VI (G, A, A♯, C, C♯, D♯, F)]
; これはナチュラルのマイナーまたはメジャーコードを5番目のコードにせず、トリプルシャープがもう1回来る;というよりは最初から短三度上げを2回している。終止「次の和音」は2回めの短三度上げのキーFm=ヘ短調におけるピカルディの三度になっているFメジャーコード=ヘ長三和音。
934bar1 in /Dm to Fm/ [IVΔ6, VΔ6, !♯3! IVΔ6, VΔ6, i (B♭Δ6, CΔ6, D♭Δ6, E♭Δ6, Fm6)]
; マイナーキーの例、繋げられる和音が転調後の同名マイナーコード;長6度ノートや短6度ノートは除いても和声的骨格は同じ。
; 13小節めからは [[IVΔ6, VΔ6, !♯3! IVΔ6, VΔ6] が更に開始の和音どうしでの長三度に上げてもう一度行われるという執拗さであり、前2つの和音がトリプルフラットであるとみなしたくなる。つまり、上の進行は /Fm/ [[IVΔ6♭♭♭, VΔ6♭♭♭, i] となり、こちらは /Fm to Am/ [IVΔ6♭♭♭, VΔ6♭♭♭, IVΔ6, VΔ6, !♯1! IVΔ6♭♭♭, VΔ6♭♭♭, IVΔ6, VΔ6, i] となる。
思いついた世間の曲例"Mario Kart Double Dash - Rainbow Road.mid"bar1 in/G to B♭ to F/ [IV, V, !♯3! IV, V, !♯3! V (C, D, D♯, F, C)]
; 繋げられる和音が次の調のドミナントという珍しい例、単純にその曲のイントロ明けのコード進行の開始の和音ということ。
思いついた世間の曲例"th07_06.mid"bar59 in /F♯m = A to Am = C/ [IV, V, !♯3! IV, V, vi (D, E, F, G, Am)]
; マイナーキーの例、繋げられる和音が転調後の同名マイナーコード。
また、「長和音(系の和音)だけの上昇進行」なので、聴いた感じだけ似ていても実際には条件から外れる例もあった。
曲例:
286bar1 in /Am/ [IΔadd9, II7, IIIΔ6, V7, i (Aadd9, B7, CΔ6, E7, Am)]
531bar1 in /Dm/ [I, II♭, V♭, V, i (D, E♭, A♭, A, Dm)]
また、「長和音(系の和音)だけの上昇進行」でさえない例もあった。
曲例:
th105_15任意の耳コピbar1 in /Em/ [ii, iii7, IVΔ6, VΔ6 (Am, Bm7, CΔ6, DΔ6)] (「次の和音」を省いた、後述で示す)
; 2021年5月9日、すでに多くの例を検証した段階でこれを調べた。この場合は、マイナー・サブドミナントとマイナー・ドミナントからのメジャー・サブドミナントとメジャー・ドミナントという形になる。そもそも今までのものが実はマイナー・サブドミナントとマイナー・ドミナントのメジャーIII度(長三度)使用のコードだったのでは?とまで感じてしまう。最後は二分休符で、次の開始は [IV, V, vi (C, D, Em)]。
175bar98 in /Am/ [i, II, III IV (Am, B, C, D)]
;具体的な和音の主音が A, B, C, D なので1つ上の例と同じだが、明らかにこちらはAマイナーのダイアトニックスケールおよびその五音音階を重んじているメロディを持っている。それは曲全体に言えるが、これと同じコード進行を持っているbar 106 からの24小節間のコード進行とメロディをいじるなどしてそこだけ別のスケールやキーにするなどしても、良いものにならなかった。なお、和音の長さは和音1個あたり2小節を占めることも1つ上の例と異なる。
後述の「同主調の和声型転調」に相当する話が英語版Wikipedia - "Modulation (music)"#Changes between parallel keys にあるが、そこに記された"borrowed chord"はこのコード進行の類型の1つを説明できるかもしれない。
そう思ってこの用語の同名記事の方を読むと、"modal mixture"などといった異称も表記され、教会旋法をはじめとした任意の同名の音階や旋法が本来の特定の音階や旋法と別のものを借用できることについての説明であり(つまりメジャーキー–長調の曲の途中で楽節全体であれ一部分であれ一時的に同名のマイナーキー–短調の音階にできる)、期待するものと異なる。
だいたいこの項目を書いた後に他者の情報を比較しようと2021年4月3日に見たページ
いちにの - 神前暁さんがつくる魅惑の「短3度転調」. 2014年9月6日. http://kaho-ss.blogspot.com/2014/09/3.html
bVII7を置いて転調します。
実際には、 IV / V → bVI / bVII → bIII という分数コードが使われることが多いです。
こう表記して説明する内容が、ここでの「IV-VトリプルシャープIV-V進行、またはIV-V短三度上げIV-V進行」に相当する。
と思ったが、「分数コード」云々という言い方は私の学習で見られず日本のポピュラー音楽理論の方に多い用語なので調べたが、カタカナ語で「オンコード (*on chord, on chords)」とも呼ばれ、日本語版Wikipediaに言及があっても他言語版に独立記事や言及が無い概念である。
あえて英語でいえば "figured bass" (wikidataで日本語は「数字付き低音」に対応), "bass inversion", "inverted chord" (転回された和音) となろう。
と思ったが、Google検索結果で英語版Wikipedia - "Slash chord" (スラッシュコード: 1 2) へのリンクが見られ、こちらの説明対象が対応するようである。
宗教でも音楽でも、用語を概念的に比較して対照する作業が、まだまだインターネット領域に不足しているので、私はこういうことも加筆する。
上の記述に関しては、この項目の比較に難しく、引用源のページで例示された曲例(■④ "HELLO!!" など?)に依存するので、ここでは疑問を残す。
このコード進行の雑学
半音下降ベースラインとともに、そのコード進行 □ |
このコード進行では、半音下降ベースライン [IV, III, !♯3! I, VII](または [IV, III, I♯♯♯, VII♯♯♯]) が利用可能である。
/C = Am (to E♭ = Cm)/における音名でいうと [F, E, D#, D](または [F, E, C♯♯♯, B♯♯♯]) となる。
2番めのみ、コード [V] がそのベースの音符 [III] と混ざることで [VΔ6](ピッチでは [iii7] と同じ構成音)、音名でいうと [GΔ6](ピッチでは [Em7] と同じ構成音) となる。
こういうベースラインは、人により、先述の「分数コード」([V/III] [G/E] とか?) で表記する方が望ましいと感じる。
次の章の前に、復習:和声型転調と強調型転調
転調の区分には色々あり、まず半音いくらであるか、といった音程次元における区分が一般的に言われる。
あまり言われない区分では、タイミングに関する時間次元がある。
それらとは別に、機能面での区分を、私は2020年7月29日の音楽説明(2020年9月14日公開)において説明した。
同一もしくは類似フレーズを繰り返す上での単純さを弱める機能があるn半音を上げるか下げるような転調を、私は、「強調型 (emphasis/emphasising/emphasizing modulation)」または「リフレイン型 (refrain/refraining modulation)」または「コーラス型 (chorus/choral modulation)」と呼ぶ。
これは、傾向として、ほとんどの曲例で、半音の移動数が1から3(短二度、長二度、短三度)になる。
同じく傾向の話をすると、ポピュラー音楽のファンの間でよく言われる「転調」は、この強調型を指す場合が多い。
任意の楽節中、もしくは異なる楽節の移り変わりとその具体的な位置(前の終止か次の開始部分か)がどこかを問わずにn半音を上げるか下げるような転調を、私は、「和声型 (harmony/harmonic modulation)」と呼ぶ。
こちらは多くの半音の移動数の種類がありうるが、単純なAm移調目的であれば6つ(三全音)までとし、転調の移動数が半音7つ以上である(ただしそのような曲例は現実的に0に近い)と言うと和声の正確な説明のためになる。
曲例により、「借用コード、借用和音 (borrowed chord; 旋法混合 modal/mode mixture とも)」(同主調 parallel key からのみを指す)とか「音階の借用」とかと理解できる場合、いわゆる転調と考えるには難しいものも私は含めている。
用語法として、この2つは、私の独創とも言える状態であるが、私の音楽説明では出現することになる。
同主調の和声型転調(同一フレーズ繰り返しでの短三度転調でなく)(転調時は休符で曖昧にされたり、そうでない場合も転調後にIV-iii反復進行であるなど曖昧にされたり)
曲例:
126bar25 154bar119 293bar36 446bar9 566bar29 622bar25☆ 640bar65☆ 717bar14☆ 720bar17 751bar14 769bar24 773bar33☆ 822bar25☆ 977bar84 988bar21 1011bar50☆ gdo21bar57
※同一フレーズ繰り返しでの短三度転調 e.g., 79bar33 105bar148 は含めない。これは型の区分でいうと「強調型」である。
※曲例761では、bar43から和声型転調があり、G♯mからBmに短三度上がっている。G♯mのパートでは、任意の楽節の最後にG♯sus4とG♯ピカルディの三度メジャーなどが使われるなどG♯の調性を示すようだが、メロディ主音はBの時もあればG♯の時もある。これを「同主調の和声型転調」として含めない。
※意図的に「東方原曲に多い短三度転調」が作者によって想定されている東方風の曲例539がある。bar16からbar19の間にそれが見られ、C♯mからEmに短三度上がっている。この曲のC♯m部分では [C♯m A B] というコード進行が取られるし、メロディの主音もC♯なので、C♯mをEメジャーとして同主調に理解することはできない。これも同主調の和声型転調として含めないことにした。「和声型転調」には相当する。この転調部分でも、まず休符が置かれている。東方風自作曲で、短調どうしの短三度移動「和声型転調」に曲例63bar29などがあり、短調どうしの短三度移動「強調型転調」に曲例79bar33 105bar148などがある。
上掲の曲例は、転調時は休符で曖昧にされたり、そうでない場合も転調後にIV-iii (e.g., F Em) 反復進行であるなど曖昧にされたりするものが、半分ほど見られる。
☆印の付いたものは、その曖昧化の例外である。
上掲の曲例はほとんど、長調で始まって同主調の短調に変わるものである。
短調で始まって同主調の長調になる例は293bar36 566bar29 717bar14など、まれである。
類比するならば、長調で始まって平行調の短調に変わるものが多くて、短調で始まって平行調の長調に変わるものが少ないことが考えられる。
ポピュラー音楽界隈の用語法はカタカナ語の割合が多いので、こういう言い方もする:パラレル転調、パラレルキーの転調、パラレルメジャーへの転調、パラレルマイナーへの転調。
三全音転調
曲例:
292bar35 406bar25 438bar11
202009100222bar43
「それなりにあるだろう」と事前に見積もったが、見当たった例はこの4点のみである。
他に3点ほど私が思ったものは、転調の音程が三全音ではなく短二度 (202103210208bar62) や長三度や完全四度であった。
「同主調の和声型転調」の曲例はいくらか、転調時は休符で曖昧にされる例であったが、この4点は転調時にそのまま繋いでいる。
上に挙げていない三全音の転調のように見える202102181529bar47は、その転調の前の小節が増三和音 (augmented triad) で始まって2回も下降して転調の直前に直前の和音と同じ根音での減三和音 (diminished triad) が鳴る形で、そこだけに調性が曖昧にされている。
他に202009100222bar39は、三全音の転調のように見えるが、前4小節のコード進行 [D♯m, G♯m, Cm, Bo] 3小節めに短三度低いマイナーコードを使用していて短三度下げ転調とも理解でき、そこから [Am] で始められるので、三全音の転調とも、そうでないとも言えるものである。
292bar35の和声を改めて解析すると、そのbar35での転調前の2小節が、F♯=D♯m調で [F♯, C♯] 度数 [I, V] とドミナント終止になっており、そこで転調した後の2小節がC=Am調で [F, G] 度数 [IV, V] とサビに相当するパートの前のワンクッションになる。
そこからのサビに相当するパートが [F, G, Em, Am] 度数 [IV, V, iii, vi] とよくある王道進行のそれである。
休符型でないとしてもワンクッション型(小挿入型)である。
上掲の例以外で議論を誘う曲例は822bar7である。
2 + 4小節の最初の楽節で、最初の3小節はAメジャーであるが、その後は1小節ごとに小刻みに転調する。
それらは C, B, E♭ の3つであり、私が"variant"とラベル付けする。
次の楽節は最初と三全音の音程であるE♭メジャー(直前の小節から継承?)で始まり、全体的にE♭メジャーと同主調の短調D♯マイナーが占める(最後はまたAメジャーに戻る)。
三全音であるAメジャー楽節と次のE♭メジャー楽節との間に、"variant"の調が3つもあると分かる。
これに関して「ワンクッション型(小挿入型)」と見るか、これらも具体的な和声型転調として扱うべきか、で迷い、ここでは「音程が三全音の和声型転調」の例に加えていない。
他に、転調ではないが、全体がAマイナーの調である曲例724は、bar18からのコード進行に三全音の音程で主音が移動する部分があることも示したい。
具体的には、以下の進行の1小節めと2小節めが、それに当たる:
724bar18 in /Am/ [i7, IV♯7, iv VI7, V7 (Am7, D♯7, Dm F7, E7)]
全体がCメジャーの調であって並行調のAマイナーのパートを持つ曲例725は、bar51からのコード進行に同名異音で見た場合は三全音の音程で主音が移動する部分があることも示したい。
具体的には、以下の進行の1小節めと2小節めが、それに当たる:
725bar51 in /Am/ [im6, II, III, I7 iii♯- (Amm6=FΔ7, B, C, A7 C♯o)]
; 曲全体は長調なのでこうとも表記できる:[vim6, VII, I, VI7 i♯o]
※記事公開日よりずっと後に気づいたが、274bar54も、三全音の転調をしている。C♯マイナーで始まり、Gマイナーへ転調するが、そこでは終止の和音が全音符ほどの長さで鳴らされるため、間が空いている。この件を、本文に挿入せず、追記の形で報告する。
当記事の起草日は2021年2月中か、2021年1月8日の特定記事の起草日と同じ(内容自体はそれ以前からPCで骨組みになるメモがあることに由来する)であろう。
終止の次のコード–和音、小節、またはメロディの頭である主音のような音高を指す言葉は無いか?
2021年4月1日に疑問があったが、2021年4月4日に調べても、見当たらなかった。
"next of a cadence", "next of a cadence", "following * (任意の単語が入る演算子での代理表現) of a cadence", "following * of the cadence"で検索してGoogle先生とやらが答えてくれることは、無い。
「ABCDE進行」に代表される、1番めの題材は、「終止と開始」の二重性を思わせ、開始であるEこそ終止として、曲のフィナーレとして用いることもできてしまい、その調がC♯マイナーなのかEメジャーなのかEマイナーなのかGメジャーなのか、その進行単体で分からないようにさせている。
音楽には、その進行と相関性の高い「IV–V–vi進行」、「IV–V–I進行」および「王道進行」類に見られる「長調と短調」の二重性(IVはマイナースケール主音もメジャースケール主音もその構成音に包含し、更にΔ7がメジャースケールでのIIIであるなどメロディの主音で一般的なI, III, V, VIのうち3つを持つためにメロディ主音がどれになるか予測させづらい)など、かなり多くの二重性を私は見出す。
ちなみに、今年1月18日に在オーストラリア華僑の人が英語版Wikipediaで王道進行についての記事を作成していたようなので、参考までにご覧になってほしい。
enwiki: IV△7–V7–iii7–vi progression
終止 (cadence) といえば、ピカルディの三度(ピカルディの3度、ピカルディのIII度 Picardy third)を連想する人も多かろう。
2021年4月6日、ピカルディの三度を文字通り表した、「短調–マイナーキーの主音–トニックでの長和音–メジャーコード」が楽節の冒頭(開始の和音、マイナーキーの主音で同名のメジャーコードを鳴らす)に用いられる曲例を見て「以前もこういうものを見たが、一般にピカルディは終止のために言うもので、日英Wikipediaから任意の紙の百科事典までそう言及している。実際に楽節の冒頭に用いられる曲例からその現象には、何も名称が無いか?」と疑問を覚えた。
なので、現時点で見当たった曲例のみ、書きだす:
230bar1 604bar1 831bar81 869bar1, パワーコードにメロディ構成音で間接的に鳴らす例: 73bar51 244bar15 717bar98; 小楽節冒頭での例 531bar9 1001bar45;
「開始ピカルディ三度」は、マイナーコードで始めたくない人のためによいかもしれないが、私はピカルディ3度にピカルディIII度なりの特質がある点で、慎重に用いる必要を感じる。
「開始ピカルディの三度」、「ピカルディ開始」と新語で呼ばずに、既述の「借用コード、借用和音、旋法混合」もしくは楽節中の和声型転調(短三度上げ !♯3! の調)の方で理解する方法もある。
楽節中の和声型転調の方法では、[E, E, C, D] という「開始ピカルディ三度」の調 /Em/ と疑われる曲例604bar1に対して、調を /E to Em/ とみなして音度を [I, I, !♯3! IV, V] と解釈する。
「開始ピカルディ三度」を嫌う場合、[E, E, C, D] に対して、調を /E/ とみなして音度を [I, I, ♭VI. ♭VII] と解釈する。
一般的に、楽節の冒頭で「借用コード」を使うようなことはありえないか、既存の音楽理論の破綻になるので、どうあっても開始ピカルディ三度を許さない見方がされることになる。
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