日本語では「は」の濁音"ば"、半濁音"ぱ"、仮名遣い"わ"に共通される。
「破」の音読みは「は」とされるが、古くは仮名遣いで「わ」となり、今も化石的に残る「不破(ふわ)」もあれば、「は」の連濁で「看破(かんぱ)・喝破(かっぱ)」など半濁音となることもある。
WとVは、例えばドイツ語のWが英語のVの発音をなすことは、少し外国語をかじり始めた2012年の頃の私でも知っていた。
ギリシャ文字の"β(ベータ)"は、英語でいうVの発音に似た単語例が多いと同時に、ウィキペディア→Βικιπαίδειαで、英語のWの代わりを担っている。
キリル文字の"в(ヴェー)"は、英語でいうと"V"の発音になり、典型的なVの発音の例で真っ先に浮かぶのはтверь(トヴェリ)だ。вск(フスク)やмосква(モスクワ)などは、カタカナ表記でロシア口語発音に近いものとなっている。
フスクの地名の例が思いの外「ハバロフスク」の他になく、フスキーなどの形なら人名などに多い(接尾辞-ийは所有格や形容詞を作るっぽい)。
本題と無関係な蛇足で、「ウラジオストク」のウとオにあたる箇所もвが綴られるが、実際の発音は「ヴ」系統(ヴラヂヴァストーク)。
なお、英語でいう"B"の発音は、キリル文字だと"б(ベー)"がそれにあたる。
トヴェリを意識したきっかけが、日本語で転載されたロシアの事故動画を2013年未明に初めて見て、同年別の時期あるいは翌年中に日本転載以前の動画を探したところ、ロシア語で撮影場所の都市名と大通りの名前が書かれた動画(6nNfAmHrDX8)があり、その通り沿いに動画内より商業施設が接していることを確認して、都市内各地の通り沿いを航空写真で分析し、ストリートビューで確証を得た。
6月14日の日記メモに、上述の勉強内容に関する経緯が語られている。
同日の軽い勉強では、記事にするボリュームに足らない感覚があった。
同メモ内で「仮に材料が豊富でも、それを整列して平易にするには週単位で時間がかかることは、過去の同様の記事の通り」とも吐露した。
6月15日の勉強もたまたま14日のものと疎通するため、記事のボリュームに富む。
6月15日は普段どおり仏教宗派の勉強として、古文献のデータを読み漁っていた。
その中の一つ、室町時代のもので、やや仏法と離れた方向で興味が惹かれる既述が多々あったが、色々考えさせられる日本の古い地名と氏族を思った時、たまたまラテン語使用の古地図の一つをWikipediaで眺めることとなった。
すると、様々な発見があったが、中でも"H"の発音が現在のドイツ語ラテン語"J"と同様に、現在の英語の"Y"に相当するものであることは興味深い。
"Hizu"なら伊豆、"Hizumi"なら和泉であり、これは一見して気付き難い。
まあ日本の地名を口頭でのやりとりで音を捉え、一つ一つラテン語表記にしたと思えば、必ずしも全て同じく適用される法則だとはいえないため、"Hietchu"は越中と同じ法則でも、"Hitchu"は備中(この場合の"H"は英語の"H"相当?で濁音化?)として異なる。
同地図で他に強いて興味深い一例を挙げるなら、先述の「B H V Wの互換性」にも強く通じるものにしよう。
この旧ラテン語の古地図では"V"が母音を持つ場合、英語の"W"に相当し、"V"が母音を持たない場合、英語の"U"に相当していることが見て取れる。
前者の例として、出羽が"Deva"であり、安房・阿波が"Ava"である。
後者の例として、島="Insula"の語形変化(複数主格とか)である"Insulae"が"INSVLAE"と表記されている。
同時代の別の地図(TYPVS ORBIS TERRARVM)であっても"AVSTRALIS"などに見られる("長いS"表記の"Russia"や"Cuba"などは一応"u"と書かれるが後述するように小文字の時のみ"u"形だったため未だ"U"自体は誕生していない)。
思うに、この当時は"U"や"W"が未だ存在しなかったか、あるいは多くの言語で未だ普及していなかったかと思う。
少なくとも、この地図での"V"の使用法は、後の"U"と"W"が、"V"より派生したのではないかという仮説を生じさせてくれる。
いやまあ、それをもう少し検索などで調査すると解決できるのだがね。
でも既に上がった日本語地名の表記の例で、普通のローマ字のごとく"U"が振られていることの方が多いため、この"INSVLAE"は擬古の表現、あるいは"U"と"V"の未分の時代を示すか。
もしかしたら、これら"V"の表記は全て大文字であるから、小文字"u"の大文字があたかも"V"の形状をしているだけで、文字としては同じなのかもしれない。
英語版Wiktionaryを漁ってみたが、期待通りではなかったため、続いて日本語版Wikipediaを探すと、期待に沿った答えが出た。
すなわち、「V」の記事には、仮説の概意と同旨の一文が記述される。
「この表記は当初は大文字は下のとがったV、小文字は早く書くために下の丸いuだった。」
本当に一文のみ引用しておいたが、この他にも同記事で仮説の答えが出ている。
ウプシロン"Y"を原型としているアルファベットは多くあるが、ウプシロン本来の発音の一つが"ウ"であることを思うとき、キリル文字の"у"も"ウ"と発音されることを思い起こす。
ロシア人に"PY"を読ませると、「ル」と発音するのではないか、とおかしくなる。
また、TERRARUM地図では隣接し合うノルウェー・スウェーデンが"Noruegia" "Suedia"と、"U"が"W"の音をなしていることがよくわかる。
"Ava(阿波・安房)"や"Deva(出羽)"の前例では"V"こそが"W"の代用であった。
面白い例で"Vuoqui"があるが、これもヲクィと発音して「隠岐」である("Foquy"で伯耆を示すのはなぜ?)。
無論この"V"も、"Ava"等と同じ"W"の音をなしていることとなる。
当記事は6月14日・15日に気の急かれるがまま書き上げ、16日4時44分に反映した。
件の日記メモでも、「助動詞『る』」の記事について触れたが、この記事のような数週間に渡る吟味などを経て投稿した状況と異なるため、内容が不足する反面、煩雑かもしれない。
とはいえ当該記事でも、一生懸命練り上げた用例等の順番の整理が不完全ではある。
追記: 6月26日
日本語の発音、ことに漢字などの音の変化の原因を知りたい場合、中国方面のみならず、時には西洋の言語もかじってゆく必要があることは当記事の流れの通り。
同様のブログは中々見つからないものだが、例えば本日の調査ではとあるブログを見つけ、当記事のようにキリル文字やギリシャ文字を引き合いに出した記事を探し出した。
勝手にリンク→http://blogs.yahoo.co.jp/itouk_khanczy/39542564.html
また、同ブログの既述にあるこちらの検索フォームも、諸漢字圏の発音調査に便利で、今までWiktionary一辺倒だった私に一つ希望が、でも「ジョク」の発音検索で「濁」が出ないの残念。
たまたま別件で調べていたところから、このような(リンク参照)Wikipedia記事を見ると、ページ最下部に「Template:子音」が視界に飛びつく。
ここに当記事の疑問の根本を解く答えが内在している。
発音時の唇や舌や気流の動きが、その音を作る特徴になっていること、普段は意識しないだろう。
この観点から言うと、なんと当記事で指すところの"B H V W (F P)"等は、ほとんどが「両唇音」にカテゴライズされ、"V"のみは「唇歯音」とされているそうだ(両唇音系の類似形含む)。
故に全てが、諸言語において密接であるとも言えるのである。
また、この他にアルファベット等で結びつきの見られる子音にも、発音の仕方に疎通する点があることも見て取れ、今後はこちらの面でも重視して学びたい。
なお、冒頭に『「破」の音読みは「は」とされるが、古くは仮名遣いで「わ」となり、今も化石的に残る「不破(ふわ)」もあれば、「は」の連濁で「看破(かんぱ)・喝破(かっぱ)」など半濁音となることもある。』と書いてあるが、後で学び直して少し間違いに気づいたので、以下のように修正したい。
『「破」の音読みは「は」とされるが、ハ行転呼という現象によって過去に仮名遣いで「わ」となり、今も地名に「不破(ふわ)」として残る。「は」の連濁で「看破(かんぱ)・喝破(かっぱ)」など半濁音となることもある(言語学的には本来の「は」が半濁音とされていて看破・喝破という語に現れる半濁音は条件的に本来の音が残ったものともいえる)。』
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よって、2019年5月12日からコメントを受け付けなくしました。
あしからず。
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