2020年2月29日土曜日

閏年–うるう年、2020年の閏日–うるう日 (leap year 2020)

閏年テスト記事

958F

ワード「閏(うるう)」

漢語(漢字の意味論、中国語)
閏…字形としては「もんがまえ+王(おう)」である。音韻としては:日本語の漢音で「ジュン jun」、呉音で「ニン nin *nyun /njun/」、現代中国語普通話の拼音 Pinyin で"rùn" /ʐwən⁵¹/である。「王」の字形はあるが、韻は「王」と異なる。簡体字の「闰」などUnicodeで符号化された異体字は数種ある (䦞 閠 𥹿 𨳝)。説文解字には「餘分之月、五歳再閏。告朔之禮、天子居宗廟、閏月居門中。从王、在門中。周禮:閏月、王居門中、終月也。如順切。」と解説される。王または天子と呼ばれる人物が門(宮殿というよりは引用された「宗廟」?何か目的がある?)から出ずに「いる(居る/居座る)」期間を指す、と読み取ることになる。しかし、:先にその期間を意味する字「閏」がある後から「うるう=任意の年に天文学的な原因から挿入された時間」の概念のために当てたのか?もしそうであればいつからか?もしそうでなければ字の構成から推定しづらい別の由来(民間語源 folk-etymology の方法で想像しづらいもの cf. 仮借、当て字)があるか? といった特定は、漢籍などから詳細な調査を要する。

なお、現代中国語で、「任意の年に天文学的な原因から時間を挿入する行為=任意の暦においてうるうを置くこと」はそのまま「置閏」と呼んでいる。…と思ったが、百度百科の「闰日」という記事には「别称 置闰」とあり(リダイレクトページ経由では「同义词 置闰一般指闰日」とも表示される)、行為ではなく行為で置かれる側の「うるう日(もちろんグレゴリオ暦–格里高利历によるもの)」を指すとしている。



和語(やまとことば、日本語)
うるう (uruu/urū)=閏…漢字の字形として似る「潤」の訓「うるお-う (uruo-u 潤う)」の転訛。漢語から借用して (loan) 訓 (kun) を当てた例であろう。いつからかは不明(文献的に平安時代か。更に可能な古い時で遣隋使や大化の改新でもありえてそれ以前という人もいるとしても有効な証拠があるかどうか)。「うるう月(閏月)」を伴う暦は、中国からもたらされた伝統的な暦(いわゆる旧暦。種類は多数だが大まかに太陰太陽暦 lunisolar calender を指す)である。現代に、グレゴリオ暦でおよそ4年ごとに加えられる1日を「うるう日(閏日)」と呼ぶ。



英語 (English)
intercalation … ラテン語由来(動詞 intercalare, intercalo; inter- + calo 直訳で:間に+呼び出す。時代用例は未調査)かそのような形態で構成される。これは任意の年に天文学的な原因から時間を挿入する行為を指す。日本人にとって「『うるう』は『うるう日』と『うるう年』に見られる2種の用法がある。多義語か?挿入の手段である時間に対しても、その時間が挿入される期間に対しても、『うるう』で複合語を作るようだ」と考えられるが、英単語"intercalation"は行為を指すと分かる。"intercalation"の訳語は「置閏法(ちじゅんほう)」と考えられる。

いわゆる「うるう日」は"leap day", 「うるう年」は"leap year"(同じく「うるう秒」は"leap second")と呼ぶ。"leaping"や"leaped"のような能動–受動の分詞に語形変化をさせていない。この用語法"leap"を見ると、日本語の「うるう」と同じに見える。日本語に「うるい日」や「うるわれ年」という語形変化が伴わないように。「うるう」については、英語に対して日本語が意味借用 (semantic loan) の一種を持つように見える。

leap … これは「最も多いうるう日=グレゴリオ暦の2月29日」の存在によって曜日の周期性が1日分リープする/飛ぶことに由来する。例えば、クリスマス(聖誕)は12月25日(主にカトリック)に決まっている場合:2014年に木曜日、2015年に金曜日、2016年に日曜日と1年ごとに1日送りであるはずの曜日がうるう日によって2日送りになる。それはOEDなどの辞書にそういう見解が載っているというもので、有効な文献の証拠があるわけでない。
Word Origin
late Middle English: probably derives from the fact that feast days after February in such a year fell two days later than in the previous year, rather than one day later as in other years, and could be said to have “leaped” a day.
— leap year (noun) - Oxford Advanced Learner's Dictionary

cf.,

汉典 (zdic.net, 説文解字注や康煕字典なども掲載) - “閏”字的基本解释.

Unicode.org - Unihan data for U+958F.

百度百科 - 『闰』142993738版『闰日』136716246版, 『置闰法』135863740版.

日本語版Wikipedia『閏』頁oldid=61477635『閏年』頁oldid=75587347.

英語版Wikipedia"Intercalation (timekeeping)"頁oldid=933049803"Leap year"頁oldid=939186126.

英語版Wiktionary - 『閏』頁oldid=54575300"intercalary"頁oldid=55359972"intercalate"頁oldid=55323787"intercalation"頁oldid=54545545"leap day"頁oldid=54446329"leap year"頁oldid=58065549.

OUPblog - What is a leap year? 2012-02-29. https://blog.oup.com/2012/02/what-is-a-leap-year/ .



注意事項がある。
「グレゴリオ暦でおよそ4年ごとに加えられる1日」などのように簡易に記した情報に関しては、用語の歴史経緯と別の話(現代的な運用や計算方法など)なので詳述しない。
上記のリンク先など外部サイトで調べてもらえばよいと思っている。



起草日: 20200205

📅閏年テスト記事である。
当記事の調査–執筆は、和語→英語→漢語の順番であるため、説明に関して全てを読むことで相互に補完されることになる。
掲載順は起草の当初から漢語→和語→英語である。

太陰暦–太陰太陽暦の「閏月」と現代の「うるう秒」についての言及を持つ過去記事が当ブログにある。
2017-07-21記事『時間 "kāla, samaya, 迦羅・三摩耶" と仏教 (仏教の時間論)』
URL: https://lesbophilia.blogspot.com/2017/07/time-kala-samaya.html

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