当ブログ2019-03-05記事からの話題;これらに見る課題を詳細に研究し、まとめて誰かが偉大な論文や著作を書いてみればよかろう。
「波斯匿王(はしのくおう)=コーサラ国王パセーナディ"rājā pasenadi kosalo"」に関する復注
参考までにスペイン語 (Spanish, Español) で「イタリアのマッタレッラ大統領 or イタリア大統領セルジョ・マッタレッラ氏」を表現すると"el presidente italiano, Sergio Mattarella"となる。ポルトガル語 (Portuguese, Português) で「アメリカのブッシュ元大統領(子の方)」を表現すると"o ex-presidente americano George H.W. Bush"となる。同様に「アメリカのトランプ大統領」は"o presidente americano, Donald Trump"である。これらはイタリア語で表現しても同じような語順になる。コンマ (, comma) の有無が実際の使用例によって分かれることはここで論じない。
2020年1月16日の注釈(案)
数詞「12 (十ニ)」は日本語で「ジュウニ jūni, とおあまりふたつ tō amari futatsu」と言うようなことが、東洋式と西洋式とに区分できる。日本語・中国語・朝鮮語は共通の東洋式になる。インド・ヨーロッパ言語では、サンスクリット語dvādaśa द्वादश, ラテン語duodecim, 英語twelve など、"ten-two"(ten + two) ではなく"two-ten"(two + ten) のようにされる。インド・ヨーロッパ祖語も同様ではなかろうか、として推定される。西洋式はアラビア数字の表記と合わないし、和算 (sum) に適していないと考えられる傾向にあり、国際補助語(人工言語の一種)ではエスペラント語dek du, イド語dek-e-du など東洋式にされる(ラテン語deca = 10と duo = 2に当たる語句が12のためにduo + decaではなくdeca + duoとしてラテン語と逆になっている)。面白いことに、「16, 17. 18 (十六・十七・十八)」に関してはラテン語とイタリア語とフランス語のような親子–兄弟(イタリック語派–ロマンス諸語。ただしイタロ・ダルマチア語 Italo-Dalmatian, ガロ・ロマンス語 Gallo-Romance など更に細分化もある。ラテン語も厳密には古典ラテン語が想定される)の言語間で異なる様式がある。La: sedecim, septendecim, duodeviginti (18は20引く2で表現 cf. 19 = undeviginti); It: sedici, diciassette, diciotto (16–17でdiciの位置が変わる); Fr: seize, dix-sept, dix-huit (一見seizeは疑問だがイタリア語に同じ。ハイフン有り). 三者三様かつ、一者のうちでもイレギュラー irregular な命数法が伴っていると分かる。
cf. 英語版Wikipedia - "List of numbers in various languages" oldid=935245993. 今は例示しなかったドイツ語や朝鮮語–韓国語やアイヌ語の例に限らず、非常に色々な例が見られるが、出典は無いに等しいため、各々が個別に調べ直すとよい。
認知心理学などの学者 (Iro Xenidou-Dervou, Ann Dowkerら) が言語の数学に対する影響の研究をし、東洋式と私が言うようなものの方が児童の算数–数学の成績に良い結果をもたらすとしている。報道例:"Why you might be counting in the wrong language", BBC Future. by Anand Jagatia (この人名を論文姓名表記にJagatia, Anandと改めるページがインターネット上に見られる)
数詞の西洋式についても「原初–起源」を推し量るならば、地名や日付と同じく「小さいものから大きいものへ」という判断基準の適用を考えることができる。もう1つの判断基準に「一から十とされる範囲を繰り返す方が行いやすい」というものがある。ここでは、現代アラビア数字「10」とすると0表記ありきの先入観が反映されるので漢数字に「代入」してみる。彼らの手に取る範囲の事物もとい日常的な思考に関わるものとして二十以下の数は「一から十とされる範囲を繰り返す」ことが許され、単に十台 (-teen) であることが分かる形態が伴えばよい。二十以上は日常的に考えなくてよい。しかし、時には二十以上が必要である。そういう場合はどうか、現代人の私が判断材料を探る。三十二–三十三–三十七のためにサンスクリット dvātriṃśa द्वात्रिंश, trayastriṃśa त्रयस्त्रिंश, saptatriṃśa सप्तत्रिंश, という数の表現を用いている(仏教用語の三十二相–三十三天–三十七道品などを参照。同じ用語がパーリ語にもあって比較可能)が、これらを見ても低い桁の数の後に高い桁の数を言う「小さいものから大きいものへ」・「一から十とされる範囲を繰り返す方が行いやすい」という基準の方法になっている。他の例で三万ニ千人いることに「(二+三×十)×千 (two plus three times ten) times thousand」のような表現があったりする(e.g. 1999年にチベットで見つかった維摩経写本: dvātriṃśatā ca bodhisatvasahasrair... 鳩摩羅什漢訳=大正蔵17巻537頁a段:: 菩薩三萬二千)。仏教で定型的に見られる「八万四千」という数は、大乗仏教の脈絡に見る「八万四千法門」以外にあるか探すと、パーリ経蔵・長部17経 Mahāsudassana Sutta に"caturāsīti thambhasahassāni"(中阿含経=大正蔵1巻516頁a段: 八萬四千柱) が見られた。これらはいずれも千にあたる数詞 sahasra, sahassa が数量化される語句 bodhisatva, thambha を隔てて後側に伴う。
旧世界–ユーラシア的な範疇の二項対立に思われそうである。
英独仏や日中韓を一括りにすることを嫌う人がいる。
しかし、便宜的かつ人名にあやかった科学用語のようなもので、ステレオタイプなどの偏見を催すように思われても「東洋式」・「西洋式」という呼称を用いる。
一般的に理解の得られそうな(ポピュラー popular だが)東アジア言語とヨーロッパ言語が中心的に提示されている。
興味のある人がアフリカ大陸や南北アメリカ大陸(アメリカ州)の「エスニックな言語(帝国的な目線での表現)」についても、データを徹底的に調べて体系的にまとめればよいと思う。
当該記事2019-03-05と当記事で「東洋式」・「西洋式」とくくることにした語順は:
・地名 toponym, place name, placename
・人名=姓名 human name, personal name, full name; first–last, given name–surname
・日時=日付と時刻 date and time
・数詞 numeral, number ←New!
「波斯匿王(はしのくおう)=コーサラ王パセーナディ」は同格表現であって文法的な語順–統語論 (syntax) に関わってくるし、インド・ヨーロッパ系の諸語は古典語であっても同格表現の語順に相違がある。
しかし、これに関しても東洋式と西洋式とで対立的な傾向が強いことがいくらかの文献の例示で分かる。
インドが地理的にも語順に関しても中間的であることは当該記事にも示された。
名称は"eastern-western"方式と"oriental-occidental"方式のどちらがよいかは、前者が直感的であると同時にオリエンタリズム orientalism の連想を回避しやすいので、私は前者を選ぶ。
大文字と小文字 (upper-case or lower case) については、標準的に小文字を用いる。
「西洋」は地理的・文化的な範疇を通時的に括るわけでない。
西洋言語の影響下であっても、後世に国際補助語エスペラントの数詞や、ISO 8601による日付表記や、論文の姓名表記などに東洋式で反映された例は示される。
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