2021年4月2日金曜日

ファッション、アパレルの材質議論。科学的思考で産業に疑問を懐く

ポリウレタン (polyurethane, PU) のとても多い応用がどれでもそう呼ばれることの不可能性
・実用的に、ウレタンと単に呼ぶものも多くはポリウレタンを指す。改めて、ポリウレタンはウレタンというモノマーの重合体であるポリマーの一種と知る必要がある。他の産業で汎用的な「ポリ- (poly-)」の名称の素材および分子(高分子)も、ウレタンと同じく炭素原子 C と水素原子 H が化学組成に含まれる。
;ウレタンはカルバミン酸 (carbamic acid) の一種である (英語で urethane と呼ぶカルバミン酸エチル ethyl carbamate ではなくカルバミン酸エステル carbamate ester だそう?エチルでもエステル結合でもある物質は多いはず。そもそも接尾辞 -ate は塩、塩素と関係ない化学概念またはエステルを指す? e.g., acetate 酢酸塩 酢酸エステルと呼ばない? C2H3O2, sulfate 硫酸塩 H2SO4, organosulfate 有機硫酸エステル 硫酸エステル R-O-SO3 余談だが有機物でCが見えない場合は R = radical or root がアルキル基など有機残基を示して C 原子があると理解する。化学式では端に見られる)。アミド系 (amide, ammonia + -ide)、重合体ではポリアミド系 (polyamide) と分類される「尿素–ウレア–ユリア (urea, カルバミド carbamide とも呼ばれる)」「ポリ尿素–ポリウレア (polyurea)」との関連は何か?ウレタンやウレアがアミド系である所以に、アミドの名前の由来であるアンモニア (ammonia) がNH3として窒素を含んでいることがあり、ウレタンやウレアも炭素と水素に加えて窒素 N を含んでいる。両者とも「有機窒素化合物 (organonitrogen compounds)」と呼ぶことができる(後述の有機溶剤についても参照)。両者とも炭化水素の分類としては芳香族に当たる。ポリウレタン合成皮革の臭いに関わっているかは不明である。ポリアミド系の素材のにおいの比較としてナイロン (nylon) という脂肪族のポリアミドが考えられる。ナイロン製品には特有の臭いがあると私は認識しない。
;↑は学びかけの憶測を含む。ポリウレタンはウレタン結合という化学結合が必要なようだが、モノマーのウレタンというのは無い?カルバミン酸のエステル (carbamate)?一方、よく言われる材料に、ジイソシアネート(ジイソシアナート)基の物質とグリコール(ジオール)系の物質(別の言い方:イソシアン酸塩と多価アルコールまたはポリオール)が挙げられる。前者は芳香族のトルエンジイソシアネート TDI、後者はポリエチレングリコール(他にヒドロキシ末端ポリブタジエン HTPB など多数)が具体例である。それだけ記す。
;高分子素材のにおいで連想することは、ポリ塩化ビニル (polyvinyl chloride, PVC) の素材からも感じられることである。製法や、関連する材料である塗料や接着剤(合成系では有機溶剤や合成ゴムの特徴ある材料からなる)が原因なのか分からないが、製品ごとに多少の差異がある。ポリエステルやナイロンなどの合成繊維からは、その高分子素材としてのにおい(塗料や染料の要素が強ければ別の話)を感じづらい。「ウレタン臭」(マットレス好きの界隈でよく用いられる)や「塩ビ臭」という言い方も世間に見られる。

・ストレッチ、伸縮性のある素材 (stretchy) に混紡の繊維(弾性繊維)として用いられるポリウレタンは、ポリウレタンと言えるのか?
;ポリオレフィン系の合成繊維がストレッチ素材として用いられることもあるとされる。
;伸縮性のあるポリウレタンは、スパンデックス (spandex), エラスタン (elastane) とも呼ばれる。
;ポリエチレングリコール (polyethylene glycol, PEG) やポリテトラメチレンエーテルグリコール (Poly(tetramethylene ether) glycol, PTMEG; テトラヒドロフランを開環重合して合成されるのでポリテトラヒドロフランとも) が何か伸縮性のあるポリウレタン素材に必要とするが、これは既に重合体である上にこれ自身がモノマーとなって別の物質(e.g., トルエンジイソシアネート)と反応させて重合をするつもり?
;ポリウレタンを合成する材料のうち、ジオール部分は、PEGがポリエステル系で、PTMEGがポリエーテル系であり、他にはポリカーボネート系のジオール物質もあるという。

・合成皮革のPUレザーがウレタンフォームを根拠とするか、表面貼り付けのペラペラ部分を根拠とするか、いずれもポリウレタンと言えるのか?
;「ボンデッドレザー (bonded leather)」は、日本のカタカナ語と英語版Wikipediaで「解した繊維を接着しなおした再生皮革 (recycled leather) の一種」を指すが、一部の英語圏の人は上記のような表面貼り付け (bonded) で剥がれる (peeling, able to peel) 人工皮革 (fake leather, faux leather) を指す。このことも紛らわしい用語法であり、「ボンデッドレザー」は一語多義なのか、何かが誤用なのか、歴史的、科学的な説明が必要に私は思う。
;「表面貼り付け」とするものは、貼り付けではなくコーティングと考えられる例もある。

・上2点(混紡の繊維およびPUレザーと呼ばれる何か)で、ポリ塩化ビニルと同様に可塑剤の使用が物性に大きな差をもたらすか?そもそも可塑剤などは使わないか?

・「ウレタン塗料」もポリウレタンとされる。

・合成スポンジの材料にも靴のミッドソールやアウトソールなどにもなる(EVAが代替にもなるとはいえ運動靴に多くあり、他の紳士靴や婦人靴にも少しある)ようで、靴を収納して未使用であるままの加水分解 (hydrolysis) による劣化–脆化と崩壊は世間によく聞かれる。
;加水分解の原理を、化学反応などの目線で想定しよう。
;新型コロナ禍で普及した「ウレタンマスク」(スポーティ、ファッショナブルで嫌う人も多い;私は着用したことなし)は、ウレタンフォームが使われていると言われ、ウレタンフォームのメーカーが開発したと宣伝されるモデルも見られる(子供靴ランニングシューズ 瞬足で有名なアキレスからも)。DIYマスク材「オリジナルマスク用ウレタンシート」というものが富士ゴム産業(富士護謨産業)のサイト「スポンジホームセンター」売られている。

・防水のコーティングとしてポリウレタンはよく使われ、コーティングの方法以外に「メンブレン (membrane)」がある。メンブレン系の中で高級と言われる「ゴアテックス (GORE-TEX®)」の防水透湿素材については、 ePTFE (expanded polytetrafluoroethylene, ポリテトラフルオロエチレン PTFEを延伸加工した素材) とポリウレタンポリマーが合わせられているそうである。

・熱可塑性ポリウレタン (thermoplastic polyurethane, TPU) 素材の携帯電話カバー(スマートフォン、スマホのケース)もよく見るが、厳密にどうか?
;ちなみにポリウレタンは通常、熱硬化性である。
;TPU携帯電話カバーには、黄ばみ(黄色化、黄変)の経年劣化がよく言われ、家の他人のスマホのそれ(新品時に透明の系統)がそのように黄ばんで見える。これも化学反応などの目線で原理を想定できる。材料のうち、ジイソシアネート物質が芳香族である場合、ベンゼン環の部分が原因になるそうである。先述のTDIの名に見る「トルエン」は、実際にベンゼン環を持ち、芳香族炭化水素である。芳香族ジイソシアネート物質には、先述のTDI以外にMDI, HDIが知られる。
;耳栓にはウレタンフォームのものがある他、フランジ型のためには「熱可塑性エラストマー」とか「シリコン」と呼ばれている素材のものもあるが、その素材もいわゆる熱可塑性ポリウレタンであろう。否、実際に珪素–ケイ素のシリコン (silicon) を含んだシリコーン (silicone, silicoketone ケトンの炭素原子を珪素原子で置換した分子) によるシリコーンゴムという高分子ポリシロキサン (polysiloxane) であるエラストマーと呼ぶことのできる物性の素材らしい。全てフランジ型の耳栓が、珪素原子ある高分子素材でできているかは、判断しづらい。



参考:2020年12月1日注文のAmazon商品B07D8NQVNYについてのレビュー文案
商品ページによれば、素材は「再生皮革」とのこと(再生革、残革、リサイクルドレザー、リサイクルレザー; recycled leather, bonded leather? Rose Anvil動画v=gfz0hTi6Ib8の指示対象はWikipediaだと bicast leather のこと?)だが、実物のタグには特に記されない。実物からは牛革のそれ(多くの場合にクロムなめし)と似て非なるにおいが感じられた。ガラス仕上げとかのにおいもあるのか分からない。革の表面を見ると、キャメルの色に混ざって黒い範囲も少し見られる。縫い糸(クラフト社 手縫いロウビキ糸のようなものか。エスコード麻糸は不明。他には合成繊維だったりする?)の処理に関してはバックルの革パーツの裏面がライターで炙った結果の焦げた色になっており、肌で触れると焦げていない部分は柔らかいが、焦げた部分は硬い。釣り針の「かえし」みたく、速度を伴ってこれに触れた服の糸はほつれるような気がした。バックルを固定する革パーツに謎のフィルム(セロファン類)が貼られ、簡単に取れる状態でないし、私は無理に取らないで放置する。 […]

参考:2021年1月19日注文のAmazon商品B08MT9GFT4についてのレビュー文案
TPUのクリアケース–カバーも色々あるとはいえ、Torrasという中華系ブランドの評判のよいB08KXZ8Z9Yは良品か。TPU=ソフト系とPC=ハード系の「ハイブリッド構造」は「中途半端で外しづらい」という懸念はおそらく当たらないと思う。TPU加水分解はあるかというと、ポリエーテル系、ポリカーボネート系、ポリエステル系の順で耐加水分解性があるとかと世間に聞かれるが、この種の製品はどうか不明である。



どのようなものが、どうポリウレタン?


多くのポリウレタン用途のうちでも、合成皮革に関する風説が最も気になっている私である。
以下のページは、産業の現場を画像や動画で紹介するわけでないなど、信憑性を持ちづらいが、とりあえず任意の筆者が示している見解として参照されたい。
私がそれを鵜呑みにする場合、「ビーガンレザー (vegan leather)」という名称は、そう呼びたい販売者や消費者が「動物由来の素材である革の再生素材などを用いずに100% ポリウレタン(または他の合成素材 synthetic…)を用いている」と製造の実態が把握される必要があろう。
btod.com - 6 Differences Between Real Vs. Bonded Vs. Faux Leather. Taylor Kiley. https://www.btod.com/blog/real-vs-bonded-vs-faux-leather/



リーガル (Regal) 系の革靴–ドレスシューズで、どんな材質か詳細に検分してみたくなる人工皮革の製品があることも、紹介しよう。
44WR (1, 2, 3), 31YRと36YR (帝人フロンティアのエコペット ECOPET, ペットボトルやポリエステル衣服など廃材から再生された素材だそう;皮革の外見にするには更に仕上げなどがあるように見える 1, 2, Regal Shoes 岡崎店の独立ブログの記事では帝人コードレのコードレ Cordley としているモデルが同じスワールトウの36YRかモデル名が無いため不明、ただし調査を重ねると"CORDLEY ™ meets ECOPET ™"というページが見られる。どちらでもあるのでPET素材にコードレのポリウレタンで仕上げをした?)
サステナブル、サステナビリティ、クルエルティフリーの声に押されてアリバイ的に、そういったビーガンレザーを含む人工皮革の製品を、リーガル系ブランドは提供しているように見える。
※「アリバイ的に」とはあまり世間で言わない表現なので注釈する。英語で言うと副詞 alibistically, 形容詞 alibistic になるが、任意の英英辞書には普通、載らないし、インターネット全体でもチェコ語 alibistický の類推や直訳くらいである。任意の英英辞書で alibi は本来の意味に加えて「非難を免れる口実を作ること」という意味で掲載される。私はそこまでネガティブな意味で言うつもりはない。こちらが示唆する意味は「とりあえずやっといた」という程度である。きっとリーガル・コーポレーションは、突破口を探したり、サステナブルなクルエルティフリーなモデルの人気があれば、拡充したり定番商品に位置づけたいと思っているかもしれない。
改めて私は思うが、欧米でレザーファン、レザーフリークである人々は、革がどのようにエシカル(倫理的)であるか、論証したいようである。
Stridewise - Can Leather Ever Be Ethical?. https://stridewise.com/ethical-leather/
皮革製品全般に言えることは、ガソリン燃料前提の旧車に比較されるニッチなものに将来的になるとしても、100年以上前に当たり前だった「石油系プラスチックより生分解性の高い素材のみで作る」方法を強調し、その方法で作られた皮革製品はエシカルであると説明しながら売ることも考えてほしい、と個人的には思う。
畜産業界は、「温室効果の高い炭化水素メタンのガス(気体)を生合成して多く排出する」(牛のゲップなど)と言われるが、「それは食肉の副産物とされる皮革製品の罪ではない」という説明の真偽を科学的に(社会科学を含む)検証して事実性が高ければ、是非、同様の宣伝文句に用いてほしい。

※直前の段落を書いたのは3月1日ころであるが、2021年3月26日に、タンニン鞣しなどで環境負荷を低くした「エコレザー」という規格の皮革素材の製品をリーガルはリリースしているというプレスリリースがあった。https://base.regal.co.jp/brand-news/regal/210326-m-ecoleather/ クロム鞣し (chrome: chromium(III) sulfate 三価クロム化合物の硫酸クロム(III) を主に用いる) は少なくとも、ありえなくなる。「日本エコレザー基準認定事業 」のサイトにある「坂本商店」のページでは、「同社の革を使って作られた洋服やカバン、靴」という説明ある画像にリーガルの化粧箱が写っている。リーガル社はかねて「エコレザー」使用製品をリリースしていたと思われる。特定のエコレザー認定対象の皮革では、事業者がタンニン鞣しを用いるというものであり、「白なめし」と称する例(新敏製革所)では水と塩と菜種油による鞣しをしているそうである(ただし鹿の皮のみ)。また、先述「食肉の副産物」に関する言説の具体例が「レザータウン草加プロジェクト」のページに見られた。埼玉県内草加市内のタンナーが、埼玉県内の食肉畜産業界から原皮を調達しているようである。当記事ではスローやエシカルやサステナブルという方向を目指しているわけでないので、そちらが気になる方は2020年9月7日投稿『「メタファッション」の概要』を参照されたい。



ほか、ポリウレタンの製造に関して、私は第三級アミン触媒や有機スズ(錫)化合物などの金属の触媒 (e.g., dibutyltin dilaurate, DBTDL ジブチルスズジラウレート–ジブチル錫ジラウレート–ジブチルスズジラウレート、ジラウリン酸ジブチルすず) があるという論文なども参照した。
井上, 眞一 et al. Feb., 2000. - ポリウレタン合成におけるアミン触媒の構造および物性への影響. https://www.jstage.jst.go.jp/article/koron1974/57/2/57_2_67/_pdf
Dobson, Stuart. et al. 2000. - Mono- and Disubstituted Methyltin, Butyltin, and Octyltin Compounds (日本語訳). p.18, 27. http://www.nihs.go.jp/hse/cicad/full/no73/full73.pdf
ほか、ラジカルに分解、解重合。
秋葉, 光雄. Jun., 2001. - ポリウレタンの劣化と安定化. https://www.jstage.jst.go.jp/article/adhesion/40/6/40_6-4/_article/-char/ja





ガラスレザーの謎
皮革製品の産業は、実際にどのようなタンナーがどう加工して作った革の素材をこの名前で呼んでいるか、消費者にとっては何とも言えない。
皮革に興味を持って調べるようになった時期は2020年8月に始まるが、9月にリーガル系ブランドのオイルレザー–オイルドレザーの革靴を買った際に、以下のような考察を書いた。
「ガラスレザー(ガラス仕上げ革、鏡面加工革)」の謎が示される。
オイルドレザーの製品にとっては直接の関係が無いものの、当時に学んだことは当時に示される必要があったので、そういう機会で書いて掲載した。

備考3:リーガルの靴は「ガラスレザー (garasu-rezā ガラス仕上げ革、英語で対訳は無いが革靴での類似品は polished binder, bookbinder leather という)」が多いとされるし、公式オンラインショップの情報にガラスレザーの名を見ることもある。ガラスレザーは、記事2019-11-22に私が簡素に紹介したエナメル革–エナメルレザー–パテントレザー (patent leather, enamelled leather) というものと別物である、と語るページ 2016-05-04 が見られる。両者が別物であるという分別は、W. Tempson氏も「おいローク、お前まさかエナメルじゃあねぇよな?」という2本の動画 (v=xZpuJtzSjXA) からも聞き取ることができる。W. Tempson氏はガラスレザー靴(リーガル2589N)のコンパウンドによる補修や、非ガラスレザー靴のコンパウンド磨きということを紹介している人物でもある。私は2019年当時に加工について多岐にわたるものとして詳述しないでいたが、一般的にエナメルと呼ばれた皮革製品の素材は合成樹脂でコーティングされ、ページ2016-05-04はガラスレザーの名の由来自体でないが多くの場合に合成樹脂でコーティングされているとする。言うまでもないが、私の2019年当時の記事で、いわゆる運動部・スポーツ向けエナメルバッグは本革で作られたものを指すわけでないことを説明しているし、これらと無関係な「エナメル」そのものの語源や歴史についても言及しているので、しっかりと経緯は確認されたい。



以上の内容では、ただちにどういうものか正鵠を射ていると思えないが、可能な限り広い情報源(写真や動画などはそれらリンク先でどうぞ)から特徴を把握しようとした。
しだいに私は、ガラスレザーが「シェル・コードバン」という馬革の一種に頻繁に比較されることと、シェル・コードバンが「アメトラ」ファッションを象徴する革素材であったことと、リーガルがかつてのアメトラ系ブランドとして日本で有名であることを学習することになった。
ガラスレザーは、要するにアメトラ系のファッションに親和性があり、なおかつリーガルの高価格帯でない製品や往年の定番モデル (2504, 2177, 2589など) に最適であるように感じた。
製法の観点でも、2021年1月上旬に下書き段階である動画説明文案や、2021年1月12日のレビュー文案に、「シェル・コードバン」と比較する見解が記されている。

2021年1月上旬に下書き段階である動画(「革ベルト端切れを貫く」、2021年1月17日に公開)説明文案:
端切れのもとのベルト (ASIN: B08C4V42HD、2020年9月1日入手) は、薄い革と芯材の3つ以上のパーツを縫い合わせて作られるものでなく、1枚の厚みのある革で作られる。
裏側の焼き印で"genuine leather"を謳う、本当の本革。
 […]
2020年12月、「ベルトでは天然皮革の中でもオイルレザーが安価」という説の存在を見聞きし、見かけがある程度、ネット上でオイルレザーとされる他の例に近いとも感じたので、私は確信した。
これがグレインレザーかどうかを知る方法はあまりないが、Rose Anvilというチャンネルのhttps://www.youtube.com/watch?v=rFcvUpBKK4w&t=198 の3:18以降にフルグレインレザーまたはトップグレインレザーらしいベルトが見られるので、参考までに載せる。
そのチャンネルにhttps://www.youtube.com/watch?v=64A1uLul7_Q 動画で"Genuine Leather"の意味を、グレイン層ではなくスプリット層の革のことであると言っているようで、詳細な検証は私の方でしない。
いわゆるコードバン=シェルコードバン: Horween (shell) Cordovan に、"Genuine"と謳われることを彼は引き合いに出し、実際にコードバンは馬の皮のうち外皮ではなく下層–深層=スプリット層から取られるとWikipedia英語版 (quote: Shell cordovan is a horse leather made not from the outer skin but from an under layer, […]) にも見られる。
ただし、これは私の解釈であり、当該動画のコメント欄では、革の出どころが確かなRed Wingのブーツに"Genuine"とフルグレインレザーに対して称していると他者にコメントされていたり、Rose Anvil側のコメントでも全ての"genuine leather"が低品質だと言いたいわけでないとある。
よしんば彼の説が正しいとして、日本製の日本メーカーにより、このベルトには、辞書での「adv. 本物の~」という意味での使用をしたものとして"genuine leather"と印が付けられたと考えてよい。
実際に彼が紹介した、「やや高品質 (high guality?)」のベルトと、このベルトの革の外観はほぼ同じであり、「1枚の厚みのある革で作られた」「端の断面などは合成樹脂などで塗装されていない」ものである。
このベルトの床面は、トコノール (Tokonole) に代表される仕上剤が用いられているように見える。

※上掲の文案の引用範囲の最後の一文で言いたいことは、トコノールなどの仕上剤に合成樹脂が配合されていることがあることを注意するつもりである。

2020年12月1日注文のAmazon商品B017X8GL9Aについてのレビュー文案:
直ちに考えられる用途は、前の茶ベルトのコバ(側面)や、前の革トートバッグの小キズである。12月16日事件以前に「10cube Leathermart レザークラフトコンプリートキット 18点セット」B0080LKDMGに憧れ、刃物は別で買うにしても(革工具、革包丁B004IE9D8Y)、トコノールは付属している。今では直ちにそのセットを買う考えでなく、これのみの注文となった。トコノールでコーティングあるベルトの剥がれた部分を修復する人もいる(彼の場合は色つきの製品を買うが無色のものにレザークラフト用の染料を混ぜるなどもあり)が、私が使用対象としたいベルトは一枚革でコバだけ切りっぱなしのものである。なお、「私の持っていないガラスレザーにトコノールが使えるか」と私は思ったが、トコノールは確かに表面=銀面に使うものでない。しかし、コードバンによく比較されるガラスレザーは、しばしば傷のある銀面の革が製品として望ましい状態にされるべく、銀面が削られてから樹脂コーティングなどして「ガラス板(類例でメノウ、水牛の角もありうる)」でならすかのように説明される。コードバンも外皮–銀面を用いずに下層–深層の皮をなめして繊維をメノウでならして革にすると言われ、鵜呑みにするならば製法は似ている。ガラスレザーは銀面が無いようなもの(ただし繊維の綿密さに差があるグレイン層とスプリット層の差はあろう)なので、床面やコバと同じようにトコノールが使えると考えたい。



当記事を執筆する今では、bicast leather と英語版Wikipediaの呼んでいるものがガラスレザー (*glass leather, *glassed leather; これらは逐語訳した例) の英語名称の好例かと考えている。
それはバイキャストレザーとでもカナ表記可能であるが、「バイ」繋がりでは、引用文中の括弧注釈にある"polished binder, "bookbinder leather"の「バインダー」もあり、「バインダーレザー (binder leather)」も可能かと思う。
前に「ボンデッドレザー (bonded leather)」の話題をしたが、「ボンド (bond)」に意味が近くて接着や結合に関する語彙にも見られる「バインド (bind)」として「バインデッドレザー (binded leather)」も可能かと思う。





ドライクリーニングに用いる有機溶剤の比較研究
有機溶剤、石油系溶剤、炭化水素溶剤の一種である「試薬リグロイン(ligroin, ligroine; ベンジン, benzine; 同じナフサ naphtha 系としてホワイトスピリット White spirit と呼ばれる溶剤もある)」を私は持っている。
その用途は主に脱脂洗浄という親油性の溶媒として(油汚れ落とし、接着剤除去、塗料希釈)、稀に燃料としても想定される。
これはドライクリーニングに用いることができる。 他に、炭素と塩素とによるパークロロエチレンやテトラクロロエチレン呼ばれる化合物 C2Cl4 の溶剤(ハロゲン系溶剤、塩素系溶剤)が用いられる。
リグロインに関しては任意の炭化水素 (hydrocarbon) の炭素原子が7から8つだとされるが、あまり化合物の組成の情報が見られないので、特定の化学組成を指すよりは物性に基づいた混合物 (solvent mixture, 溶媒混合液) の名称や区分であろう。
cf., JIS K 8937:2015.
その主要な化合物はいくつか候補があってもよい (cf., Enwiki - hydrocarbon mixtures, 現時点で無出典記事だが、ベンジン"benzine"はペンタンやヘキサンやヘプタンといった鎖式飽和脂肪族化合物アルカンの混合物であり、ベンゼン"benzene"は芳香族化合物の名称) ように思う。
リグロインと「石油ベンジン」は私にとって何が違うか2021年1月11日まで知らなかったが、当記事を起草して調べ直すと、前者の炭素原子の数と異なって後者は6から7つのようである。
これらは揮発性や沸点など、物性の差があるとされる。
プロパンやブタンなど液化石油ガス LPG に使われる炭化水素は、炭素原子の数が少なく、沸点の低さに相関性が高いので、ペンタンなどギリシャ語の数詞の語彙素を含むものは炭素原子の数が容易に推定でき、リグロインの安全データシートではn-ヘキサン C6H14 やn-オクタン C8H18 が多いとされるので、沸点が高めで揮発性が低くなろう。
cf., 昭和化学(東京都中央区)によるリグロイン1211-8250の安全データシートENEOSによるホワイトガソリンの安全データシート. 沸点に関して、炭素原子が3つのプロパンは約−42 °C、8つのオクタンは約126 °C。

ドライクリーニングに用いる有機溶剤の比較では、「洗剤が入っている」といった他の条件も混ざらないようにしたい。
ウール(wool; 任意の動物の毛 animal, 特に羊毛 sheep or lamb)を使用対象とする場合、ニット(毛糸での編み物–編物)や、一般的なスーツ生地とツイードのような織り物–織物を対象に、「フェルト状の収縮」が起きることの可否に、実験を伴った説明が尽くされるとよい。

羊毛には「ラノリン」という油脂の一種が付着しているとされ、加工の工程でラノリンが落ちた生地が多いが、ラノリンが落ちていないことを特徴とする生地もあるそうである。
ドライクリーニングの溶剤では、それが溶解される(俗に油の分解という)とか、溶けて流れるという結果が必然的である。
ドライクリーニングの業者の一部は、元がそうと想定される任意のウール生地をクリーニングにかけた後、ラノリンを塗ったりでもするか、気になる。
そこで、インターネットを検索すると、実務者へのインタビューが検索にかかったので、一例として参照されたい。
そこでは「KB値 (カウリブタノール値, Kauri-butanol value, Kb value; 厳密にどういうものかアニリン点と比較したv=gDz9EMZnG24も参照)」「加脂剤」などの語彙も見られる。
クレアン - プロに聞く1.ドライクリーニングって何?Yシャツ、ニット、スーツなど洋服はすべて平滑剤などの加工が。. https://www.clairen.jp/press/2013/08/104

ラノリンは重量 (g) または体積 (mL) あたりの金額が高いため、他の物を用いることも考えられる。
以下では食用オリーブオイルを家庭でのウールのニットのセーターに用いた一般人の内容が見られる。
私としては、精製された美容用または薬用のオリーブオイル(日本薬局方オリブ油)を用いた方がよいと思えたが、まあ皮革製品や皮膚に塗布する目的と違うため、構わないとも思うし、逆に工業用を含む他の油で安価かつその目的に合うものがあるのではないかと感じる。
SLOG - 【メンテナンス】インバーアランのウールセーターを洗濯 |賢い男は自分で洗う. https://goodvibes9999.com/blog-entry-382.html



おさらい:2020年9月7日注文のAmazon商品B01M04U1P2についてのレビュー文案
実物到着前後混淆:アセトン (1, 2)、ベンジンなどの名称が含まれた製品でもよいが、とりあえず、或る経緯で見慣れた試薬リグロイン 500 ml というこれにした。シューケア用品を揃える前に、まずこれだけ手にしておきたかったし、衣服の染み抜きといったこともしたい。先んじて9月8日に水道水と食用油とで「不登校だった上の弟学ラン制服用のベルト」の補修を行ったり、9月4日に界面活性剤入りキッチン用アルコール(何らかのエタノール)でポロシャツ左袖の胸に近い部分にあるシミ–染みの除去(未遂)を行うなど、家に既にあるもので試行した。ベルト補修に関しては当製品の目的と関係ないが、ここに示す。当製品はその他で清掃や実験などに活路を見出す。物性というか、これは同じ500 mlでも水より軽いことがボトルを持った際に分かる。中の踊る液体も水と違って軽やかに見える。水よりも揮発性が高い。ボトル自体は茶色の曇りでない半透明であり、PET樹脂(商品本体に記載なしで私の憶測、PETの一部はエタノールに溶けるがこの組み合わせがどうか不明;v=p2w-H44ZnQw&t=210によれば過去にガラスだった)としては類を見ない頑強さとなっている。実際の使用では、危険性に警戒しつつ、水を扱う感覚でこれを扱うと、手に付く結果となりやすい。ゴム手袋と気休めマスクは最低限の軽装備であろう。サングラスや伊達眼鏡を気休めに使ってもよい。臭いはリグロインという第1石油類ガソリン自体が無臭なのか必ずしも分からないが、この製品は実際に強いし、誰もが嗅いだことのあろう付臭剤(着臭剤 odorant)「チオール (thiol) 」に似ているとも思うが違うとも思う。消防法別表第一に危険物が定められ、リグロインとかベンジンという言及は無いが一般に第1石油類(1気圧=約1013 hPaで引火点が21℃未満)とされる。ガス工作物の付臭/着臭の義務はガス工作物の技術上の基準を定める省令22条に記される。根拠法?らしいガス事業法施行規則の第一条2項八に「メタンを主成分とするガス」という表現があり、これそのものか不明だがメタンは炭化水素の一種でリグロインも炭化水素系の何かなので該当する可能性がある。付臭義務とか着臭義務とかがある物質のリストみたいなものはインターネット上に存在しないので、こういう解釈を行うことが素人には精一杯である。危険性の比較として、「N-ヘキサン (ノルマルヘキサン n-hexane; nはイタリック体なのか表記ゆれ多く不明、数学記号でないのは確か)」が含まれているとラベルに記されており、これは日本国の有機溶剤中毒予防規則で第2種有機溶剤のはずだが、同じラベルに「第3種有機溶剤等」とのみ記される。「ガソリン」、「石油ベンジン (petroleum benzine)」、「石油ナフサ」、「ミネラルスピリット」がリグロインという「混合物」に近いと思うが、判断しづらい。

2021年2月6日注文のAmazon商品B000TGLQDAについてのレビュー文案に「ストッダード溶剤 (W. J. Stoddardという人物にちなむ名称) ミネラルスピリット/ホワイトスピリット(英国や米国で呼称の差あり。日本国でリグロインとともに第3石油類 CAS登録番号: 8030-30-6, 8032-32-4 など)」と私は記した。








起草日:2021年1月11日
絵描きの顔を持つ筆者は、結局、バーチャルファッションの立場を言うからこそ、リアルの側面も重んじて衣類や皮革製品に私費を投じることになっている。
生活者総合研究のための科研費ちょーだい (´-`) ←本気じゃないので無視しておk。
ひとえに中学生の頃からのファッション願望の強さが関わっている。
自分の発想で特性を検分したり、時間経過の観察をしたり、外でも多少は着用してみて私はどこが変質しやすいかなどを注意深く省察することになる。
父親らの住む「前の家」に私の光学顕微鏡があるが、当然、そういう機器は今の家に無いし、使いたいという願望も強くない。

私は生活者や消費者の目線で物の購入と、その後の維持とに資する知識を探求してもいる。
すると、今回の記事のような疑問が次々と浮かんでしまう。
果たして「ポリウレタン」の応用範囲には、全てその名で異なる特徴を同質化できるか?
衣類や皮革のケアは、個々の材質などに細かく注意すべきでも、化学的客体化で簡単に要点が得られるか?
そちらの産業やサービス業などの業界に疑問を投げかける。
科学論文などを参照しながらゆっくりと解明することができると思う。

ネイルアートやケアのうち塗布するものとその除光液–リムーバーや、化粧品(メイクアップの塗布するもの)や、香水なども、溶液として有機溶剤であるエタノールなどアルコール系やアセトンなど石油系が使われている。
香水を含む芳香剤の製品には、香料として、エステル(カルボン酸エステル)類の物質 (1, 2) も多く使われる(定量的に流通品を調査したデータを私は認識しない)。
その場合は「合成香料 (*synthetic flavors, artificial flavors 人工香料)」の一種になる。
この段落は、当記事の話題にある「材質、物質や素材」の応用を兼ねた復習である。
石油化学/有機化学じみた話題で占められたわけだが、それら炭素原子が重要であるモノマーからポリマーまで、改めて応用が幅広くあると感じられる。
炭素による化合物は情報技術そのものに関わらずとも、情報機器に欠かせない一部分ともなるし、これからの新技術にも応用できよう。
バーチャル云々の範疇で、もし「におい(ニオイ、臭い、匂い)」を色覚におけるRGBサブピクセルモデルのようにデジタル生成する手段があれば、「人のいない土地で空気を大量吸引して二酸化炭素から酸素を分離した炭素をダイヤモンドにすることができる技術」のある時代でもあると思う。
言い換えると、私には錬金術じみていて実現が難しいと思うので、PCなど情報端末がにおいを生成する手段には、これ以外の原始的かつ煩雑な方法になる。

少し雑な話題になるが、2021年1月29日14時、私はアイロン(同じ家の他人の部屋にあるもの)を使用し、何となく熱のあるアイロンを「任意の合成皮革と任意の合成繊維(メッシュの外見)が材質である収納の家具(その部屋にあるもの)」に触れさせた。
合成皮革部分は、ちょっとした熱のアイロンでかすかにくっついた(つけて0.1秒ほど離した方法)。
合成繊維部分は、ちょっとした熱のアイロンですぐ溶けてベタッとくっついた。
この合成繊維は、確証が無いがポリウレタン系(スパンデックスとも呼ばれる伸縮性のあるポリウレタン以外の何か)ではないか、と私は感じた。
結果を写真に撮った。

説明に対応する2枚の写真から作成された画像


こういう、熱に弱い素材で連想することは、ポリウレタンのアウトソール(ウレタン底)が熱に弱いとする実験である。
ミドリ安全が「ラバーテック」という耐熱性の高い合成ゴムのアウトソールを用いた安全靴の製品を売っており、「ラバーテックソールとポリウレタンソールに、約1,100℃の炎を放射する耐熱試験」という画像を掲載している商品ページ (ASIN: B002P72702) がある。
こう記して間もなく、動画 (YouTube: v=GJgCVA4rHeo) も見つかった。
それに関してはただちにこの繊維の正体を解明するものでないし、やはり一般にポリ○○というラベルの繊維と、ラベルさえ無い繊維とが何であるか、解明する術はまだ普通の消費者に用意されていない。
ポリプロピレン素材とされる不織布マスクに同じようにアイロンを触れさせるとかして、多少は比較する材料を持った方がよい。
ポリプロピレンはポリオレフィン系であり、その系統にはポリエチレン(ポリエステルの一種でポリエチレンテレフタレート PET の名を持つ物質は存在感が強いので一般に除かれる)も含まれる。
一般の消費者はそういう素材の名前のラベルと、百科事典的な区分で理解することが精一杯であり、「融点 (melting point)」とか「熱変形温度 (heat deflection temperature, heat distortion temperature)」とかも参考にするには情報源のアクセス性や信憑性で難しかったりする。
化学というか物理化学や熱力学に詳しい人で「ボルツマン定数 (k = 1.380649×10−23) で水の絶対融点(気圧無視)を解け」という問題に回答してほしいが、水の液体の物性は気圧や重力に依存するので絶対融点は無いなどと言われそうである。
「水の三重点 (triple point)」ですって?

当記事が投稿されるまでの間にも、新疆ウイグル自治区での綿花栽培(奴隷労働)に関する国際的な議論と、中国本土での特定ブランド(e.g., H&M, Nike, Adidas) への不買運動といったことが報道されるようになった。
綿花栽培と労働など、環境や人権に関する話は、ファッション関連の前回記事に相当する2020年9月7日投稿『「メタファッション」の概要』にも記される。

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